映画やゲームの中でよくみられるようになった3Dアニメーションを自分でも作りたいと思っている方は少なくないようです。ここでは、2Dアニメーションとの違いを考えながら、3Dアニメーションとは何かを理解していきましょう。続いて、3Dアニメーションの作り方や使えるソフトをご紹介します。作る際のコツも紹介しますので、オリジナルの3Dアニメーションを作ってみてください。
3Dアニメーションとは
3Dアニメーションとは、コンピュータグラフィックスを使い、立体的なキャラクターを組み立て、プログラムにより動きをつける表現方法を言います。実写に近い動きや光景を作ることができるのが、3Dアニメーションの利点です。3Dアニメーションを使うと、建築物や機械の内部構造など、口頭やテキストで伝えるのが難しい複雑なものを一目で認識してもらえます。
また、現実ではありえない映像を作り出すことも可能になります。インパクトを与える映像も作れるため、視聴者の興味を引くこともできるでしょう。そのため、3Dアニメーションは広告宣伝などにも使われています。
2Dアニメーションと何が違うのか
2Dアニメーションは、初期のディズニー映画や日本でテレビが登場した当初のアニメなどで使われています。縦軸と横軸の平面の中に人物や物を置いて表現する方法で、奥行きを出すには遠近法などを使うしかありません。
一方、3Dアニメーションは、3次元空間の中にキャラクターを作り、光や影・質感などを追加して現実と見間違うかのような映像を生成する技術であるレンダリングを施してアニメーションを作る点が2Dと異なります。
3Dアニメーションの作り方
ここで、簡単な3Dアニメーションの作り方をご紹介します。
3Dアニメーションは、いきなり映画やテレビなどで流れているような見ごたえのあるものを作るのはハードルが高すぎるため、こちらで示す簡単な方法をマスターしたうえで方向性を決め、それに必要な技術をマスターしていくことをおすすめします。
3Dにしたいキャラクターなどの三面図を作成する
3Dアニメーションは、設計段階が大切になります。3Dで表現したい物体に関して、正面・上・横から見た三面図を作成しておくと、整合性の取れた動きがつけやすくなります。
モデリング作成
モデリングとは、3Dで表現したいキャラクターなどを立体物として作る工程を言います。
モデリングでは、小さな三角形や四角形を組み合わせて立体物を作成する方法が一般的です。
最初のうちは、組み合わせるポリゴンの数を抑え、モデリングのコツをつかんでいくようおすすめします。
マテリアルやテクスチャを施す
モデリングは、いわば粘土で物の形を作り上げた状態です。それに色や光の当たり方であるマテリアルを調整したり、凹凸や光沢であるテクスチャを加えることで質感を出し、リアルな表現が可能になります。
リギングを設定する
リギングとは、マテリアルやテクスチャを加えたモデルに動きをつけることを言います。
人間と同様、モデルにスケルトンと呼ばれる骨格を作り、それらの関節が自然な動きになるよう調整していくのがリギングのポイントです。
スキニングを行う
リギングでモデルを動かす仕組みを作成した後、それをキャラクターの動きに関連付けるスキニングを行います。
レンダリングで動きのデータを書き出す
レンダリングとは、3Dデータを静止画や2D動画に書き出す作業を言います。アニメのセル画を描きだすようなイメージでとらえると良いでしょう。レンダリングには膨大な時間がかかりますが、動きを確認するのに必要な作業です。3Dアニメーション制作がある程度進んだ段階で簡易的にレンダリングを実施し、微調整していくのが効果的な作成方法です。
3Dアニメーションを作るのに便利なソフト
3Dアニメーション作成ができる便利なソフトはいろいろあります。ここでは、無料のものを含め、よく使われているソフトをピックアップしてご紹介します。
ソフト名 | 価格 | 特徴 |
Blender | 無料 | 個人がよく使う3DCGソフト |
Meshmixer | 無料 | 直感的で簡単に使える3DCGソフト |
3ds Max | 286,000円〜 | 個人でも扱いやすいがプロも利用する |
MAYA | 286,000円〜 | プロも使う映画でも使われる |
Blender
高機能でありながら無料で使える3DCGソフトです。多彩な機能が搭載されており、いろいろなことができるメリットがある一方、操作の習得には時間を要します。無料であることも手伝い、利用者は多く、チュートリアル動画なども多く出されています。Blenderは単なる学習ツールにとどまらず、商用利用も進んでいます。
Meshmixer
Meshmixerは、粘土や彫刻を作るイメージで3Dアニメーションを作成できる無料のソフトです。直感的な操作が可能で、編集を柔軟に行なえる点がメリットです。
3ds Max
3ds Maxはプロが使用する高機能なソフトでありながら、初心者でも扱いやすいと評判です。こちらは有料のソフトになり、1ユーザーあたりの料金は2023年の時点で286,000円になります。3ds Maxは、建築やデザイン業界で多用されています。
MAYA
商用利用されている3DCGソフトで最もポピュラーなものになります。実際、MAYAはハリウッド映画などでも使用されており、本格的な3Dアニメーションを作成できます。こちらも有料のソフトで、2023年時点の費用は1ユーザーあたり286,000円です。
3Dアニメーションを作る時のコツ
初めて3Dアニメーション作成に取り組む方は、作り方のコツを押さえておくと、途中で挫折することを避けられるでしょう。
これまで3Dアニメーションを作ってきた方であっても、下記で紹介するコツを理解しておくとより短い時間で質の良いものを作れるはずです。
作りたいものにマッチしたソフトを選ぶ
上述の通り、3Dアニメーションを作るソフトはいろいろな種類があります。それぞれのソフトは得意分野が異なります。どのようなものを作りたいかを考え、それに合ったソフトを使うと良いものができあがるでしょう。かけられる予算やこれからの展開を考え、無料のものにするか有料のソフトにするか決めると良いかもしれません。
参考書を用意する
作る3Dアニメーションによっては、自分が今まで習得してこなかった技術が必要になる場合があります。使用するソフトを解説した参考書などを用意しておくと、短い時間で必要な技術を探し出し、3Dアニメーション制作に活かせるはずです。
アニメーションの工程表を作る
3Dアニメーション制作には、モデリング・マテリアル・テクスチャ・リギング・レンダリングなどいくつかの工程がかかわってきます。それぞれの作業が間を置かずに行えるよう、スケジュールを立てて効率よく進める必要があるでしょう。3Dアニメーション作成では修正や手戻りの発生を意識して、余裕を持ったスケジュールを立てておくことが重要です。
複雑な3Dアニメーション作成にはプロの力を借りることも視野に入れる
会社の広告宣伝など、クオリティの高い3Dアニメーションにしたい場合は、プロの力を利用することも検討しましょう。複雑な3Dアニメーション制作は、初心者にはハードルが高く、納期までに作成できない可能性もあるからです。3Dアニメーション制作会社に依頼する場合は、3Dアニメーション作成の目的や方向性などをあらかじめ共有しておくと、イメージ通りのものができる可能性が高くなります。
3Dアニメーションとは?有用なソフトや作り方のコツまとめ
3Dアニメーションとは、コンピュータグラフィックスを使い、キャラクターなどを立体的に表現する方法です。
実写に近い映像を作り出せますが、3DCGソフトの使用が必要で、作り方にはコツがいります。
自分で3Dアニメーションを作る場合は、利用目的にかなったソフトを選んだり、参考書を用意するなどして計画的に各工程をこなしていくことが大切です。
