技術の進化や発展とともに、映像作品には3DCGが多用されるようになってきました。ゲームや映画の業界における大型プロジェクトで、3DCGがまったく使われていない作品は、むしろ珍しいともいえます。
そんな3DCGの制作には、「Maya」のような専用のソフトウェアが不可欠です。とはいえ、プロフェッショナルが使用するソフトウェアは料金が高く設定されている傾向があります。
機能や使い勝手を確認してから導入したいなどの理由から、無料もしくは安価での使用を希望している人も多いでしょう。
本記事では、Mayaを無料で使う方法に加え、同ソフトウェアの知識や技術の習得に役立つセミナーなども紹介します。
Mayaとは
Mayaとは、ソフトウェアを中心にさまざまな商品を開発・販売しているAUTODESK(オートデスク)社の3DCGソフトウェアです。
リアルな3Dモデルのキャラクターや高度なエフェクト効果の作成が可能なソフトウェアで、数々のアニメーションや映画、ゲームなどの映像作品で使われています。
とりわけVFX業界でのシェア率は高く、Mayaを使用し世界的にヒットした映画も少なくありません。複雑なシミュレーションもでき、そうした機能やワークフローを高速で処理できるのも魅力でしょう。
3DCGソフトウェアの多くは、他のツールなどをプラグインとして使用することで機能の拡張が可能です。
Mayaはプラグインが可能なツールは多くはないものの、プログラミングによるカスタマイズ性に優れています。欲しい機能をほかのツールに頼るのではなく自ら作り出せるため、とても自由度の高いソフトウェアといえるでしょう。
このプログラミングによりオリジナルのソフトウェアを構築できる点も、世界中のプロのクリエイターに選ばれている大きな理由の一つです。
Mayaの基本価格
Mayaは有料のソフトウェアです。使用するには、原則購入しなければいけません。Mayaには、「サブスクリプション」と「フレックス」の2つの購入方法が用意されています。以下に、それぞれの特徴と基本価格をまとめましょう。
サブスクリプション
サブスクリプションは、一定期間ごとに定められた料金を支払う購入方法です。Mayaのサブスクリプションの基本価格は以下の通りとなっています。
期間 | 価格 |
3年 | 85万8000円 |
1年 | 28万6000円 |
1カ月 | 3万6300円 |
1カ月契約の価格を単純に1年分に換算すると、43万5600円です。1年契約の価格と比較したとき、年間で15万円ほども高くなる金額で設定されています。ただ、1年契約の価格を3年分に換算しても85万8000円となり、年単位の価格は3年契約を結ぶ場合と変わりません。
数ヶ月など短期的に利用するわけではなく、これからしばらくはMayaを使うつもりであれば1年契約を選んでおくのが賢明でしょう。
サブスクリプションは1ユーザーごとの契約となる点には注意が必要です。企業やチームで導入する際には、ユーザーごとにMayaを購入しなければいけません。
フレックス
フレックスは、トークンを購入することでMayaを使用できるプランです。いわゆる従量課金制であり、1日あたり1トークンを消費することでソフトウェアの使用が可能となります。フレックスの基本価格は以下の通りです。
購入単位 | 価格 |
100トークン(16日/年) | 4万2900円 |
500トークン(83日/年) | 21万4500円 |
カスタム | 別途見積もり |
購入したトークンは1年間使用できます。
サブスクリプションはユーザーごとの契約となりますが、フレックスは企業やチームなどの管理者がまとめて購入可能です。
複数のユーザーにトークンを割り当てて使用できるため、短期集中型のプロジェクトを受注したり、ときどきMayaを使う業務が発生したりする場合に便利でしょう。
フレックスに用意されている「カスタム」とは、個別にトークン数を見積もりし購入できるプランです。500を超えるトークンが必要な場合や、自社で必要なトークン数が把握しづらい場合は、別途見積もりを依頼してみましょう。
また、5000以上のトークンを購入すると特別価格が適用され、よりお得に利用可能です。こまめに購入するよりも、まとめて購入した方が割引率が高くなる可能性があります。こうした点も押さえつつ検討しなければいけません。
Mayaを無料で使う方法はある?
上記で紹介した通り、Mayaの利用にはそれなりのコストがかかります。機能性を考慮すれば決して高価格とはいえないものの、1カ月ごとに数万円程度の費用をかけられない人や企業もあるでしょう。
特に、Mayaを使用したことがない人や学生にとって、購入のハードルは決して低くはありません。AUTODESK社はそうした人たちのために、無料で使う方法を用意しています。
ここでは、Mayaを無料で使う方法を2つに分けて紹介しましょう。
無料体験版
Mayaには、一般の人向けの無料体験版が用意されています。公式サイトから誰でもダウンロードが可能ですが、無料で利用できる期間は30日間です。有料版と同様の機能が使えるものの、商用利用はできません。
無料体験版のダウンロードの際には、「ビジネス」での利用を選択します。言語設定やオペレーションシステムの確認を行ったうえで、アカウントを作成しましょう。ダウンロードを開始し、終了したら保存されたファイルを開きインストールの作業を行います。
ソフトウェアの使用承諾をし保存場所を選択したらインストール完了です。画面上に表示される指示に従えば、多くの場合は問題なくダウンロードできるでしょう。
学生版
Mayaには、無料で使える学生版も用意されています。上記で紹介した一般の無料体験版と異なるのは、学生限定で長期間無料で利用できる点です。利用資格を有する対象者は1年間無料で使えますが、資格を有する限り更新して利用を続けられます。ただし、一般の無料体験版と同様、商用利用はできません。
学生の場合は、「教育」を選択することで教育機関限定ライセンスの申請が可能となります。在籍している学校や生年月日、卒業予定日などを入力し、学生証や成績証明書などをアップロードしましょう。
この作業には、学生や教育関係者以外が長期間無料でMayaを使用するのを防ぐ目的があります。事前に必要な書類などを用意しておくと、スムーズにダウンロードできるでしょう。
Mayaを安価で学べるセミナー
有料・無料にかかわらず、知識や技術がまったくないままMayaのソフトウェアをダウンロードするのは避けたほうがよいでしょう。
購入の場合はサブスクリプションかフレックスプランのどちらかを選択しなければならず、無料の場合も利用期間の制限があるためです。一度の購入で長期間使える製品と異なり、知識や技術がない状態で使い始めると費用や時間を無駄にしかねません。
ここでは、Mayaの知識や技術を比較的安価で学べる「Maya基礎セミナー」について、主な特徴を紹介します。
2日間の短期集中型
「Maya基礎セミナー」では、Mayaの知識や技術を2日間で学べます。
1日目の受講でMayaの基本的な操作方法からモデリング、アニメーション作成まで習得可能です。2日目の受講ではリアルな3DCGやエフェクト動画、ショートムービーの作成などに必要な知識や技術を学べます。
基礎セミナーとなっていますが、応用操作や実務で使える技術まで習得できると言っても過言ではありません。
選べる受講スタイル
「Maya基礎セミナー」では、会場受講とライブウェビナーの2つの受講スタイルから選択可能です。
講師との直接対面で学びたい人は会場受講を、会場から離れたところに住んでいる人や自宅で学びたい人はライブウェビナーを選択しましょう。会場受講の場合は、当日使用するパソコンも貸し出してもらえるので手ぶらで受講できます。
受講料はどちらも変わりません。
個人でも企業でも利用可能
「Maya基礎セミナー」は個人での受講はもちろん、企業の社員研修などにも活用できます。内容などのカスタマイズにも対応しているので、社員研修用に利用したい場合は問い合わせてみましょう。
また、ライブウェビナーでも講師に直接質問できます。個人かつ初心者でも安心して利用できる点も大きな魅力です。
Mayaを無料で使うポイント
無料で使うことも可能なMayaですが、事前に準備をせずに利用するのは避けたいところです。Mayaを無料で使う際のポイントは、次のとおりです。
- 目的や用途を明確にしておく
- 他のソフトウェアとも比較する
詳しくみていきましょう。
目的や用途を明確にしておく
Mayaを使用する目的は、個人や企業により異なります。アニメーションの制作に使う場合もあれば、ゲームに使用するケースもあるでしょう。
Mayaの特徴を理解したうえで、どのように使うのかをあらかじめ定めておく必要があります。目的や用途が明確化されていれば、無料版をダウンロードした直後から練習や作業へと取り掛かれるためです。
一般の無料体験版は30日の利用制限が設けられており、無料の学生版も学生のうちしか使えません。利用できる期間が限られているので、目的や用途の明確化だけではなく、ある程度の知識や技術も備えたうえで使い始めたほうがよいでしょう。
他のソフトウェアとも比較する
3DCGソフトウェアはMayaのみではありません。ほかにも数々のソフトウェアが存在しています。どれを導入するか迷っている場合は、事前に候補を洗い出し、それぞれのソフトウェアに無料体験版が用意されているかを確認しておきましょう。
大半の無料体験版には利用制限が設けられているため、可能な限り同じタイミングで試しながら比較検討する必要があります。機能性や拡張性などを同時に比較できれば、より自分に合ったソフトウェアを選択できるでしょう。
Mayaを無料で使う方法についてまとめ
世界中のプロのクリエイターも使用している3DCGソフト「Maya」には、無料版が用意されています。一般の人がビジネスなどで使用できる無料体験版は30日間限定ですが、有料版と同様の機能を試すことが可能です。学生版は資格を満たしている限り、利用期間を更新できます。
ただ、いずれも使える期間が限定されていることには変わりないため、無料で使う際には事前に目的や用途を明確にしておくとよいでしょう。
また、ある程度の知識や技術を有したうえで使うことも大切です。初心者はセミナーを受講してから無料体験版を使うと、限られた利用期間を無駄にせずにMayaの魅力を存分に体験できます。