3DCGを作成する作業は、とても時間がかかります。こだわりが強いほどに作業時間は長くなるでしょう。3DCGソフトウェアであるMayaでの作業時間を減らす方法の一つに「ショートカット」があります。
ショートカットは効率的な作業を可能とし、結果的にクリエイターの負担軽減につながる点もメリットです。Mayaを導入するにあたり、ショートカットの知識は不可欠といえます。
本記事では、Mayaの具体的なショートカットをはじめ、同ソフトウェアを効率よく使うコツなどを紹介します。
Mayaとは
Mayaとは、AUTODESK社が開発・販売している3DCGソフトウェアです。リアルなキャラクターや風景のエフェクトを作成できるソフトウェアであり、世界中のクリエイターに使用されています。
実際に、Mayaを使用し制作され世界的に話題となった映画やゲーム、アニメーションも少なくありません。数多くの便利な機能を高い精度で実行でき、それら作業を高速で処理できる点も魅力です。
また、プログラミングによる機能性の拡張も可能で、オリジナルのツールとして構築・活用することもできるでしょう。自由度が高く、知識や技術が積み上がるほどに高性能なソフトウェアへと発展させられるのも大きな特徴です。
無料体験版あり
Mayaをサブスクリプションで購入する場合、年間で数十万円程度のコストがかかります。機能性の高さなどを考慮するとリーズナブルともいえますが、はじめて3DCGソフトウェアを導入する人や企業にとっては高価格帯の製品となるでしょう。
Mayaには、そうした人たちに機能や使い勝手などを体験してもらうための無料版を用意しています。公式サイトからダウンロードでき、ビジネスでの活用が目的で導入を検討している人は30日間の無料使用が可能です。
ほかのソフトウェアと比較したい場合にも、無料体験版は役に立つでしょう。
Mayaのショートカットとは
ショートカットとは、ソフトウェア使用時のさまざまな操作を、キーボードやマウスを使い時間を短縮して行うことです。もしくは、そうした操作の仕組みそのものを指します。ショートカットとは、本来近道や容易な方法を意味する英語表現です。
Mayaの大半の操作は、キーボードとマウスを使用して行います。Mayaには画面上にツールバーやパネルなどが表示されており、そこから実行したい操作の選択が可能です。
しかし、いちいちマウスを上下左右へと動かし、カーソルをツールバーの特定の箇所などに合わせ実行したい操作を選んでいると時間がかかってしまいます。ショートカットは、その作業時間を大幅に減らすための仕組みです。
Mayaのショートカットは、基本的にキーボードを使用します。それぞれのキーには特定の操作が振り分けられており、実行したい操作に対応したキーを選ぶことでショートカットが可能です。
ショートカットは単体のキーで操作が可能なものもありますが、複数のキーを組み合わせて操作を実行することもできます。特に、複数のキーを組み合わせたショートカットを「ホットキー」と表現するケースも少なくありません。
また、多数のボタンを搭載したマウスを使用すれば、キーボードだけではなくマウスのボタンでショートカットを行うことも可能です。
Mayaの便利なショートカット6選!
Mayaは高機能なソフトウェアのため、操作の数も膨大です。ショートカットも操作の数と同様に多いので、すべてを覚えるのは容易ではないでしょう。
ここでは、使用頻度が比較的多い基本的かつ便利なMayaのショートカットを6つのシーンごとにまとめます。操作を英単語で表した際の頭文字のキーを採用しているショートカットも少なくありません。
コピー(Copy)や複製(Duplicate)、保存(Save)などが代表例です。例外も多々ありますが、参考にすると覚えやすいでしょう。
編集
編集する際に使用頻度の高いショートカットは、次のとおりです。
ショートカット | 操作内容 |
Ctrl + X | カット |
Ctrl + C | コピー |
Ctrl + V | ペースト |
Ctrl + D | 複製 |
Ctrl + G | グループ化 |
Ctrl + R | ファイルリファレンスを作成 |
Ctrl + N | 新規シーン |
Ctrl + O | シーンを開く |
Ctrl + S | シーンを保存 |
Ctrl + Shift + S | シーンを別名で保存 |
Ctrl + Q | 終了 |
Shift + Z | やり直し |
Shift + P | ペアレント化の解除 |
Shift + D | トランスフォームして複製 |
P | ペアレント |
G | 繰り返し |
Z | 元に戻す |
表示設定
表示設定する際に使用頻度の高いショートカットは、次のとおりです。
ショートカット | 操作内容 |
0 | 規定の精度の表示設定 |
1 | 粗精度の表示設定 |
2 | 中精度の表示設定 |
3 | スムーズ精度の表示設定 |
4 | ワイヤフレーム |
5 | シェーディング表示 |
6 | シェーディングおよびテクスチャ表示 |
7 | すべてのライトの使用 |
表示・非表示
表示・非表示する際に使用頻度の高いショートカットは、次のとおりです。
ショートカット | 操作内容 |
Ctrl + H | 選択項目の非表示 |
Alt + H | 選択していないオブジェクトの非表示 |
Shift + I | 選択項目をレビュー |
Ctrl + Shift + H | 最後に非表示にした項目の表示 |
Shift + H | 選択項目の表示 |
ツール
ツールを使用する際に使用頻度の高いショートカットは、次のとおりです。
ショートカット | 操作内容 |
W | 移動ツール |
E | 回転ツール |
R | スケールツール |
Q | 選択ツール |
Y | 最後に使用したツールを選択(移動・回転・スケール以外) |
T | マニピュレータの表示ツール |
D | 左マウスボタンでピボットを移動 |
+ | マニピュレータサイズを拡大 |
− | マニピュレータサイズを縮小 |
モデリング
モデリングを使用する際に使用頻度の高いショートカットは、次のとおりです。
ショートカット | 操作内容 |
Ctrl + F9 | ポリゴンの選択項目を頂点に変換 |
Ctrl + F10 | ポリゴンの選択項目をエッジに変換 |
Ctrl + F11 | ポリゴンの選択項目をフェースに変換 |
Ctrl + F12 | ポリゴンの選択項目をUVに変換 |
ペイント
ペイントを使用する際に使用頻度の高いショートカットは、次のとおりです。
ショートカット | 操作内容 |
Ctrl + B | ペイントエフェクトのテンプレートブラシの設定を編集 |
Shift + B | ブラシの半径の下限を修正 |
Alt + F | 現在の値で塗りつぶす |
Alt + R | 反射のオン・オフを切り替える |
Alt + C | カラーフィードバックのオン・オフを切り替える |
Alt + A | ワイヤフレーム表示のオン・オフを切り替える |
M | 最大ディスプレイスメントを修正 |
N | ペイント値を修正 |
B | ブラシの半径の上限を修正 |
Mayaを効率よく使うコツ
Mayaには、ショートカットを含め作業効率を高めるためのコツや機能が数多くあります。
ここでは、より効率よくMayaを使うために押さえておきたいポイントは、次のとおりです。
- 練習を繰り返す
- 使いやすいショートカットを設定する
- 操作を自動化する
詳しくみていきましょう。
練習を繰り返す
ショートカットは頭で覚えただけでは、実際の作業で使いこなすのは困難です。必要な操作のショートカットを次々と実行していくには、体に覚えさせなければいけません。
特に意識しなくても手が自然と動くようになるまで練習を繰り返すことが肝要です。操作時にキーボードを見てしまうと実行が遅れてしまい、ショートカットを使う意味も薄れてしまいます。
慣れるまでは指の使い方が難しいキーの組み合わせもありますが、そうした操作に対しては特に重点的な練習が不可欠です。ショートカットが体に染み付いたとき、Mayaを効率よく扱うことができているでしょう。
使いやすいショートカットを設定する
Mayaには、ショートカット(ホットキー)を新たに割り当てられる機能の「ホットキーエディタ」が備わっています。
ホットキーエディタを使えば、自分の感覚や習慣などに合ったショートカットの設定が可能です。
すでにほかのソフトウェアなどで特定のショートカットを活用している場合は、それに合わせて設定するのもよいでしょう。
ソフトウェアごとにまったく異なるショートカットを操作することによる混乱も避けられ、Mayaをさらに効率よく使えるようにもなります。
操作を自動化する
Mayaには、操作を自動化できる機能も備わっています。メッシュを自動でリトポロジ化できる機能により、モデリング作業の削減が可能です。
クイックリグツールも同様に、自動化や段階的にワークフローを進めていく半自動化に活用できます。
また、Maya専用のスクリプト言語であるMELを使用し、オリジナルの自動化機能を加えることも不可能ではありません。
言語を習得したうえでのプログラミング作業が必須ですが、操作が自動化できれば効率は大幅によくなるでしょう。
Mayaでショートカットを使うメリット
Mayaでショートカットを使うと、さまざまな効果が得られます。
ショートカットを利用すると、次のようなメリットがあります。
- 大幅に作業時間が短縮できる
- 直感的な作業が可能となる
- 体調管理にもつながる
詳しくみていきましょう。
大幅に作業時間が短縮できる
3DCGキャラクターやエフェクトの作成には膨大な時間がかかります。
細微な表現にこだわったり作品の時間が長くなったりするほどに、作業にかけなければならない時間も増えるでしょう。
Mayaは高性能でありながらワークフローを高速に処理できるソフトウェアですが、それでも各クリエイターは長時間かけて作品を制作しています。ショートカットで短縮できる1つの作業時間は微々たるものにすぎません。
しかし、その作業が数百・数千と積み上がると、大幅な時間短縮へとつながるでしょう。納期のある仕事を受注しているクリエイターや提出期限が設けられている学生などにとっては、とても重要なメリットとなります。
直感的な作業が可能となる
ショートカットを覚えると、必要な操作を無意識で素早く実行できるようになります。
徐々に直感的な作業が可能となり、画面やイメージに集中できるようになるでしょう。
結果、アイデアを具現化したり修正・改善したりするスピードの向上が期待できます。クリエイターにとって、経験により培った感覚や一瞬のひらめきはとても大切なものです。
ショートカットを習得し直感的な作業が可能となると、そうした感覚やひらめきを存分に活かせるようになります。
体調管理にもつながる
ショートカットを使って作業できるようになると、画面と向き合っている時間や椅子に座っている時間も短縮できます。
眼精疲労や、それに起因する頭痛、同じ姿勢で作業し続けることで生じる肩こりや腰痛なども避けられる可能性が高まるでしょう。
体調管理が徹底できれば作品のクオリティも上げられ、クリエイターとして長く活躍できるようにもなります。ショートカットの使用は、こうした付随的なメリットを生み出すと認識しておくことも大切です。
Mayaのショートカットについてまとめ
世界中のクリエイターに利用されているMayaは、ワークフローの処理の高速化を実現している高性能な3DCGソフトウェアです。
ショートカットを活用すると、さらに作業時間を大幅に短縮できます。Mayaのショートカットの種類はとても多いため、一つずつ確認しながら覚えていくしかありません。
練習を繰り返し無意識に操作できるレベルにまで到達できれば、直感的な作業が可能となったり体調管理がしやすくなったりと、さまざまなメリットが得られます。
Mayaでは、ショートカットの設定やプログラミングによる特定の作業の自動化も可能です。こうした機能も駆使しながら効率よく作業をすすめ、クオリティのより高い作品の制作を目指しましょう。