2025年10月、国内初・生成AI活用企業アワード「GenAI HR Awards 2025」でグランプリを受賞したソフトバンク。ソフトバンクは「スマホの会社」というイメージが強いですが、近年はOpenAIへの巨額出資など、AI部門への進出でも話題を集めています。
本記事では、ソフトバンクが推進するAI事業戦略をはじめ、無料で使えるアプリやロボットなど、注目のAIサービスを一覧で紹介します。現在、ソフトバンクのAIはどのように進化しているのでしょう。その全貌を本記事で明らかにします。
ソフトバンクのAI事業戦略とは?

ソフトバンクのAI事業戦略は、「AIとの共存社会」を実現するために、技術基盤づくりと人材育成を包括的に進める取り組みです。
ソフトバンクでは、クラウドやAIインフラの整備、AIエージェントの開発、そして社員のAIスキル強化を一体で推進しており、こうしたソフトバンクの取り組みが成果につながり、中期経営計画の利益目標も1年前倒しで達成しました。
ソフトバンクが進める人材戦略
ソフトバンクは、「使い倒す→日本一生成AIを活用する企業へ」をスローガンを掲げ、ソフトバンク社員全員がAIを日常業務で扱えるようにする「AI義務化」を人材戦略の中心に据えています。この取り組みでは、
- AI利活用基盤の整備
- 生成AIの学習機会
- 活用促進施策
の3本柱を全社で展開し、1,000名を超えるソフトバンク社員がAI・クラウド分野へキャリアを広げました。
この取り組みにより、ソフトバンクでは、AI関連資格の取得者は全社員の約13%に達しました。加えて、ソフトバンクグループ横断で行われる生成AIコンテストや、社員が100種類のAIエージェントを作るチャレンジなど、実践を通じて学ぶ文化がソフトバンク全体に広く浸透しています。
参照:ソフトバンクニュース
AI事業へのソフトバンクの取り組み
ソフトバンクは、現在、以下の4つの分野を中心にAI事業を推進しています。
| 分野 | 概要 | メリット |
| AIエージェント | 自律的に考えて行動するAI | 言葉一つでショッピング、旅行予約などを完結 |
| ソブリンAI | 日本語特化の国産生成AI | 日本語データを学習した日本人が使いやすい仕様 |
| 次世代社会インフラ | データセンサーを2拠点構築 | AIの膨大なデータ処理に伴う消費電力を安定供給 |
| AITRAS | 無線RAN×AIの具現化 | 省電力、および混雑時もスムーズにアクセス |
これらのソフトバンクの事業は一つひとつ独立した技術に見えますが、実は組み合わさることで、社会の仕組みそのものにAIが溶け込む世界が実現します。具体的には、
- 安全に使える国産AI基盤(ソブリンAI)
- 全国高速・安定AIインフラ(次世代インフラ・AITRAS)
- 企業と共創するAIパートナー(AIエージェント)
のように連動して機能する状態です。この仕組みがそろうことで、企業が抱える労働力不足の解消、新しい価値創出につながる社会の実現を、ソフトバンクは目指しています。
ソフトバンクとOpenAIの関係

ソフトバンクとOpenAIの関係は、OpenAIの主要株主であり、かつOpenAIの日本市場における独占的事業展開を担うパートナーです。
ソフトバンクグループは総額300億ドルの出資
2025年12月、ソフトバンクグループはOpenAIに対し225億ドルの出資を行いました。同年4月に75億ドルの払い込みが完了していたため、これにより、ソフトバンクグループ自身の総出資額は300億ドル(約4.5兆円)、OpenAIに対する持株比率は約11%に達しています。
この巨額出資はどのようにして実現したのか?
ソフトバンクはこの資金を捻出するため、長年保有してきたエヌビディア株を約9,000億円で売却し、OpenAIへの出資に充てました。ソフトバンクの孫氏は「本当は手放したくなかった」と語りつつも、AI分野投資のために決断したと説明しています。
両トップのコメント
この巨額投資に対して、ソフトバンクとOpenAIの両トップは以下のようなコメントを寄せています。
孫正義会長兼社長
「OpenAIが掲げる、AGIの進化を通じてその恩恵を人類全体にもたらすというビジョンに深く共感しています」
サム・アルトマンCEO
「同社のグローバルなリーダーシップとスケールは、私たちが取り組みをより迅速に進め、より高度なインテリジェンスを世界にもたらすことを後押ししています」
引用元:OpenAIへの225億ドルの追加出資完了について | ソフトバンクグループ株式会社
ソフトバンクのAIサービス一覧
続いて、ソフトバンクが提供しているAIサービスをお伝えしましょう。まずは、ソフトバンクの各AIサービスをまとめた一覧表からご確認ください。
| 区分 | サービス名 | 主な内容 |
| AI検索 | Perplexity Pro | 高度検索、画像・動画回答、複数AIモデル選択可 |
| ロボティクス | Pepper | 生成AI搭載のコミュニケーションロボット |
| Whiz | 自律走行型の法人向けAI清掃ロボット | |
| AIエージェント | AGENTIC STAR | 80以上のツール搭載、長期記憶・安全環境を提供 |
AI検索アプリ「Perplexity Pro」
ソフトバンクは、高度なAI検索機能を備えたスマホ向けアプリ「Perplexity Pro」を提供しています。主な特徴は、
- 画像や動画と組み合わせた視覚的な回答表示
- 複数のウェブ情報源を参照した信頼性の高い回答
- 複数のAIから選択可能(GPT-5、Gemini 2.5-proなど)
です。ソフトバンクまたはワイモバイルのLINEMOユーザーなら、通常月額2,950円のところ、半年間無料で利用できます。
ロボティクスサービス
ソフトバンクは、AI機能を搭載したロボティクスサービスも展開しています。
コミュニケーションロボット「Pepper」
2014年6月に誕生した「Pepper」は、生成AIや顔認識といった先端技術を搭載した身長121cmの人型ロボットです。音声対話や胸部のタブレットを通じて、商業施設や教育、介護など、人とのコミュニケーション現場で活用されています。
AI清掃ロボット「Whiz」
法人向けAI清掃ロボット「Whiz」は、主にカーペットなどの床清掃を行う自律走行型バキュームロボットです。提供形式はレンタルで、強力な吸引力と導入後のスムーズな運用が、清掃業者から高く評価されています。
AIエージェント「AGENTIC STAR」
ソフトバンクが2025年12月11日にサービス開始した「AGENTIC STAR」は、ビジネスを広くサポートする法人向けのAIエージェントプラットフォームです。ウェブ検索、画像・動画処理、アプリ開発など、80種類以上のツールを搭載しています。
このソフトバンクのAIエージェントはSaaS形式(ネット経由)で提供しており、過去のやりとりや社内資料を企業ごとに安全に蓄積できる長期記憶機能も搭載しています。さらに、チャットごとに独立した仮想環境を提供し、実行環境の安全面も抜群です。
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こうしたソフトバンクの取り組みからも、AIの進化はこれからさらに加速していくことが伺えます。自社での効果的なAI活用を実現するためには、AIの最新情報をキャッチアップし、業務活用するスキルが必要です。
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ソフトバンクのAI開発を担う主要3社

続いて、ソフトバンクのAI開発を担う主要な会社を3つお伝えしましょう。まずは、一覧表でソフトバンクの各企業の主要情報をご確認ください。
| 会社名 | 設立時期 | 主な事業内容 | 特徴 |
| SB OAI Japan | 2025年11月 | OpenAI技術の日本展開 | ソフトバンクとOpenAIとの合弁会社 |
| Gen-AX | 2024年7月 | SaaSによる生成AI導入 | 生成AIを活用した業務効率化を支援 |
| SB Intuitions | 2023年8月 | 国産LLMの研究開発 | 日本語・日本文化に特化したLLM |
SB OAI Japan
SB OAI Japan合同会社は、ソフトバンクグループとOpenAIが共同で設立した合弁企業です。2026年提供予定の企業向けAIソリューション「クリスタル・インテリジェンス」を開発し、ソフトバンクが日本向けに最適化した形で独占提供する計画です。
同サービスはOpenAIの最新技術を基盤に、日本企業の業務に合わせて調整されたもので、すでにソフトバンク社内で先行導入が進んでいます。これは、「現場で得たノウハウを蓄積し、その実績を示したうえで外部企業へ展開する」という、ソフトバンク独自の戦略に基づく取り組みです。
参照:ソフトバンクグループとOpenAIによる合弁会社「SB OAI Japan」が発足
Gen-AX
ソフトバンクが運営するGen-AX株式会社は、生成AIを活用したビジネス向けSaaSとコンサルティングを提供する企業です。現在はカスタマーサポート分野を中心に、会話内容に応じて応対を切り替える「自律思考型」の自動応対システムを展開しています。
このシステムは、日本マイクロソフトと共同開発した「コールセンター業務自動化技術」を基盤としており、業種ごとのニーズに合わせて柔軟にカスタマイズ可能です。ソフトバンクは、今後対応可能な業種や活用領域を段階的に広げていく方針を掲げています。
SB Intuitions
SB Intuitions株式会社は、国内向け大規模言語モデル(LLM)の開発を担う企業として、2023年にソフトバンクが設立しました。日本語特有の表現や文化的背景、業務文脈まで扱えるモデルづくりを進めています。
LLMの開発・学習に使用するデータは、すべて国内のデータセンターで管理しているので、セキュリティ面での安全性確保も万全です。
さらに、生成AIの開発に必要な高性能計算基盤の整備も進行中で、今後ソフトバンクではこの基盤を活用し、大学・研究機関・企業向けに生成AI関連サービスを提供していく計画です。
参照:国産の大規模言語モデル(LLM)の開発を行う「SB Intuitions株式会社」
マイクロソフトでは「Copilot」という生成AIを採用しており、その基盤にはOpenAIのGPT‑5が使われています。Copilotの概要やできること、使い方は以下の記事で解説していますので、ぜひこちらもご参照ください。
ソフトバンク×東急不動産のAI映像制作プロジェクト
ソフトバンクは、AIマルチエージェント技術を活用した映像制作の実証にも取り組んでいます。2025年12月からは東急不動産と連携し、店舗プロモーション動画をAIが生成・配信するプロジェクトを開始しました。
ソフトバンクのプロジェクトの概要
はじめに、ソフトバンクのプロジェクトの概要からお伝えしましょう。
- 実証開始期間:2025年12月1日~2026年1月31日(予定)
- 実施場所:広域渋谷圏の店舗
- 目的:店舗プロモーション動画の自動生成と配信
AIマルチエージェントとは?
AIマルチエージェントとは、異なる役割を持つ複数のAIが協力して一つのタスクを完成させる技術です。このソフトバンクのプロジェクトでは、
- ディレクター役のAIを中心に構成
- シナリオ設計・演出・編集などを担当する複数のAIエージェントが連携
- 商品情報と写真を入力→5言語のショート動画を自動生成
というタスクを実行しています。
渋谷エリアは観光客が多い一方、周辺店舗への回遊率が低いという課題があり、ソフトバンクのプロジェクトは、この課題解決の有効な施策として注目されています。ソフトバンクでは、実証後にアンケート調査を行い、取り組みの効果を検証する予定です。
参照:ソフトバンク
CG制作の未来を変えるAIマルチエージェント
実は、本項目冒頭「マルチエージェント紹介動画」自体も生成AIによって制作されています。ソフトバンクの紹介動画に広がるビジュアルは、リアリティだけでなく、質感表現やライティング、構図の統一感など、まるで人が丁寧に作り込んだような完成度を保っています。
細かいモデリングや手作業による演出を必要としないソフトバンクの技術は、CG制作の常識を塗り替える転換点を示しているともいえるでしょう。
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ソフトバンクのAIについてまとめ
ソフトバンクでは、日本一生成AIを活用する企業を目指し、OpenAI株の11%を保有するなど大規模な投資を進めています。
ソフトバンクは、今後国内での生成AI普及を支えるインフラ整備にも力を入れ、AIの進化はさらに加速すると見込まれます。こうした生成AIの業務活用を進めるためにも、ぜひ無料セミナーを活用して最新スキルをキャッチアップしてください。
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