画像編集の際に欠かせないのがトリミングです。イラストや画像を効果的に編集するためには、正確なトリミングが必要です。Illustratorでは、トリミング機能を使って、画像の一部を切り取ることができます。使いこなすと自分の思い通りに画像を編集することが可能です。
今回は、Illustratorを使ってトリミングする方法や、トリミングができない場合の対処法などについてご紹介します。
Illustratorでトリミングする方法
トリミングすることで、不要な部分を隠したり、レイアウトを整えたりすることができます。Illustratorでトリミングする方法はいくつかありますが、ここでは一般的な方法をご紹介します。具体的な手順は、以下のようなものです。
1.トリミングしたいオブジェクトを選択
Illustratorでオブジェクトをトリミングする際、まず対象となるオブジェクトを選択します。編集したい画像や形状、テキストなどです。選択するには、まず、ツールバーから「選択ツール」を選択します。選択ツールは、矢印のアイコンです。
次に、トリミングしたいオブジェクトをクリックするか、ドラッグして範囲を選択します。オブジェクトが選択されると、外部に枠が表示され、編集可能な状態になります。
2.トリミング領域を作成
トリミング領域を作成するには、「ペンツール」または「形状ツール」を使用します。これらのツールを利用すると、トリミングしたい形状を描くことが可能です。まず、「ペンツール」を選択すると、カーソルが自由に動かせる状態になります。クリックして点を打ち、必要に応じて曲線を引いて形状を作りましょう。「形状ツール」を使用して、直線や円、四角形などの基本的な形状を描くこともできます。
3.形状を選択して「トリミング」コマンドを実行
作成または選択した形状を選択ツールでクリックしましょう。選択された状態で、右クリック（または上部メニューバーから）してコンテキストメニューを開きます。メニューから「トリミング」または「クリッピングマスクの作成」などの関連するオプションを選択してください。これにより、選択した形状に基づいてオブジェクトがトリミングされます。トリミングされた部分は形状に合わせられ、余分な部分は非表示となります。
Illustratorで高度なトリミングをする方法
Illustratorで高度なトリミングをおこなう方法は、いくつかあります。ここでは、クリッピングマスクを使用する方法について紹介します。
四角形や円などの単純な図形だけでなく、多角形や星型などのの複雑な図形にも切り抜くことができる方法で、クリッピングマスクを使用したトリミングの手順は下記になります。
1.トリミング対象のオブジェクトを用意
まずは、トリミング対象のオブジェクトを用意しましょう。Illustratorのツールバーから選択ツールを選び、トリミングしたいオブジェクトをクリックするか、ドラッグして範囲を選択します。既に存在するオブジェクトをトリミング対象にする場合は、そのオブジェクトをダブルクリックして直接編集モードに入ることも可能です。この段階でトリミング対象のオブジェクトが選択されると、その後のトリミング操作を進めることができます。
2.トリミングの基準となる形状を描く
通常のトリミングと同じように「ペンツール」または「形状ツール」を使用して、トリミングの基準となる形状を描きます。これがクリッピングマスクになります。必要に応じて描いた形状を編集してください。ペンツールを使用している場合は、アンカーポイントを移動したり、制御ハンドルを調整して曲線を修正します。形状ツールを使用している場合は、サイズや角度を変更することができます。
3.形状を選択してオブジェクトと結合
形状を選択しオブジェクトと結合することは、複雑なトリミングや編集作業を実行するために必要な作業です。トリミングの基準となる形状を描いた後、選択ツールを使用して描いた形状とトリミング対象のオブジェクトを同時に選択します。Shiftキーを押しながら複数のオブジェクトを選択することも可能です。
選択した状態で、右クリックし、コンテキストメニューから「結合」または「オブジェクト > 複合パス > コンパウンドパス（結合）」を選択します。これにより、形状とトリミング対象のオブジェクトが結合され、1つのパスとして扱われます。
4.オブジェクトと形状を選択してクリッピングマスクを作成
メニューから「クリッピングマスクの作成」を選択しましょう。選択した形状がクリッピングマスクとして設定されます。クリッピングマスクが作成されたら、トリミングの基準となる形状に基づいてオブジェクトがトリミングされます。必要に応じて、クリッピングマスク内で形状を調整したり、他のオブジェクトを追加したりすることが可能です。
Illustratorでうまくトリミングができないときの対処法
画像のトリミングは、Illustratorの基本的な操作の一つです。しかし、トリミングした画像が意図した通りにならない場合があります。トリミングをスムーズにおこなうためには、問題の対処法を知っておくことが重要です。ここでは、Illustratorでトリミングができないときの対処法をご紹介します。
オブジェクトがグループ化されているか確認
トリミングが難しい場合、オブジェクトがグループ化されている可能性があります。グループ化されたオブジェクトは一括で移動・変形できるため、トリミングが思い通りにおこなえないことがあります。
まずは、Illustratorのツールバーから「選択ツール」を選択し、トリミング対象のオブジェクトをクリックしてください。もしオブジェクトがグループになっている場合、右クリックしてコンテキストメニューを開き、「グループ解除」を選択します。これにより、オブジェクトが単一の要素になり、トリミングや編集が容易になります。
パスが閉じているか確認
トリミングする形状が、閉じたパスでないと正確なトリミングが難しい場合があります。まず、「ペンツール」を使って描いたパスを選択します。選択した状態で右クリックし、「パスを閉じる」を選択しましょう。これにより、パスが完全に閉じられ、図形が形成されます。また、パスの始点と終点が同じ位置にあるかを確認することも重要です。もし異なる場合は、ペンツールを使って始点と終点を結ぶように新たなパスを描くか、「オブジェクト > パス > 閉じる」を選択してパスを閉じます。
重なり合ったオブジェクトの管理
重なり合ったオブジェクトが原因でトリミングが思い通りにできない場合があります。まず、選択ツールを使用してトリミング対象のオブジェクトをクリックし、他のオブジェクトと重なっていないか確認しましょう。もし他のオブジェクトと重なっている場合は、これらのオブジェクトを一時的に非表示にするか、別のレイヤーに移動させます。これにより、トリミング操作がより明確におこなえます。
他のIllustratorの使い方はこちらの記事も参考にしてください。
Illustratorでトリミングするメリット
トリミングは、デザインプロセスにおいて重要なステップであり、複数のメリットがあります。不要な部分を削除すると、デザインの印象をガラッと変えることも可能です。Illustratorでトリミングするメリットには、以下のようなものがあります。
画質が落ちない
Illustratorはベクターベースのソフトウェアであり、トリミングや画像の拡大・縮小をしても画質が落ちません。これにより、異なるサイズの出力やプリント物に柔軟に対応できます。この特性はとくに、ロゴやアイコンなどのグラフィック制作において重要です。
複雑な形状への適応
Illustratorを使用してトリミングすると、背景を透明にすることができます。切り抜かれた部分だけを含む透明なイメージを得ることができ、他のプロジェクトやデザインに組み込むのが容易になるのが特徴です。例えば、ウェブデザインや広告バナーなどで、異なる背景に対応したイメージが求められる場合、Illustratorを使用して背景を透明にすることで、画像を必要なコンテキストに統合しやすくなります。
デザインの改善
トリミングは、余分な情報を取り除き、シンプルでクリーンなデザインを実現する手段として重要です。不要な要素が削減されることで、情報を迅速かつ明確に伝えやすくなります。また、トリミングによってデザインの焦点を特定の要素に絞り込むことができ、重要なメッセージやイメージが際立ちます。
Illustratorでトリミングをする方法についてまとめ
画像の一部を切り取るトリミングは、画像編集の重要なスキルです。トリミングをマスターすると、デザインの可能性が広がります。トリミングを上達させるには、何度も繰り返しておこなうことが重要です。また、トリミングをおこなう際には、編集する画像データのバックアップを取っておくことも大切です。Illustratorでトリミングを学んで、画像編集のエキスパートになりましょう。
