Illustratorで作成したデザインは、通常は独自のAI形式で保存されます。
ただ、デザインに手を加えられない状態で配布したり、印刷時に指定されたりした際に、PDF形式にしたい場合もあるでしょう。そのためには、PDFへの書き出しが必要となります。
今回は、どうすればIllustratorのデザインをPDFに書き出しできるのか、やり方から注意点まで詳しく解説していきます。
IllustratorはPDFで書き出し可能!
Illustratorは通常AI形式で保存しますが、JPGやSVGなど、他の形式で保存することも可能です。そして、PDFにも対応しています。そのため、PDFへの書き出しは可能です。PDFの書き出し機能はIllustratorに標準で備わっているため、外部ツールなどを使用して変換する必要はありません。
Illustratorの概要に関してはこちらを参考にしてください。
IllustratorでPDF書き出しする方法
それでは、IllustratorでPDFの書き出しをする方法を確認していきましょう。
PDFの書き出し方法は下記の手順で完了することができます。
「別名で保存」で書き出し
手順 | 詳しい内容 |
1.別名で保存 | 上のメニューにある「ファイル」から選択 |
2.ファイル形式で「PDF」を選択 | ここで他の形式も選択できる |
3.設定を完了 | ページ数やどのようなPDFにするか設定できる |
4.PDFの書き出し完了 | PDFファイルが出力される |
開いているドキュメントをPDFファイルとして保存したい場合は、「ファイル」メニューから「別名で保存」を選択してください。そして、ファイル名と保存先を指定したら、ファイル形式を「Adobe PDF」にして「保存」を押します。そうすると、PDFの設定画面が開くため、必要な調整を行った後、「OK」を押してください。そうすると、ドキュメントがPDF形式として書き出されています。
「複製を保存」で書き出すやり方
「別名で保存」の場合は、開いているドキュメントをPDFファイルにして保存します。そうではなく、開いているドキュメントをAI形式に維持したまま、PDFの書き出しを行うのであれば、「複製を保存」を選びましょう。「ファイル」メニューから「複製を保存」を選択してください。それ以降は、「別名で保存」と同じ手順です。
ファイル名と保存先を指定し、ファイル形式を「Adobe PDF」にします。その後設定画面の調整を済ませたら、開いているドキュメントは異なるPDFが書き出しされているはずです。
IllustratorでPDF書き出しをする時のコツ
IllustratorでPDF書き出しを行う際には、意識した方が良いコツがいくつかあります。
どのようなコツがあるのか、確認していきましょう。
編集機能を除外しよう
IllustratorでPDFに書き出す場合、通常だとIllustratorの編集に関する情報もPDFに含まれます。編集情報が入っていれば、その分ファイルの容量は大きくなってしまいます。けれど、PDFでは編集情報が不要な場合が多いです。そのため、PDF書き出しをする際に、編集情報は保存しないように設定すると良いでしょう。
「別名で保存」「複製を保存」を選んだ際に出てくる設定画面に、「Illustratorの編集機能を保持」というチェックボックスがあります。そこに入っているチェックを外してください。そうすれば、PDFに編集情報は含まれなくなり、ファイルの容量が軽くなります。
必要に応じて画像の圧縮を行う
Illustratorのデザインで画像を使用する場合、その画質が高ければ高いほど、ファイルの容量は大きくなります。ただ、PDFのファイルの使い道次第では、あまり高画質な画像が必要ではないことがあります。そのため、PDF書き出し時に、画像の圧縮を行いましょう。
「別名で保存」「複製を保存」を選んでPDFに書き出す際に、ウィンドウの左側に「圧縮」カテゴリがあります。その中の「カラー画像」の欄にあるプルダウンメニューが、「ダウンサンプルしない」になっているはずです。それを「ダウンサンプル(バイキュービック法)」に変更しましょう。そして、プルダウンメニュー横にある、解像度の数値を変更します。PDFファイルをパソコンなど画面上で確認するだけであれば「72」、印刷に使う場合は「150」にしてください。
さらに、「圧縮」のプルダウンメニューを「JPEG」に変更することで、容量を軽くできます。また、「画質」のメニューは、「最低」から「最高」までの5つから選択可能です。画質を下げれば容量は軽くなるので、クオリティと容量を天秤にかけながら、状況に応じて選びましょう。
目的に合ったPDFのプリセットを選ぼう
IllustratorでPDF書き出しを行う際には、複数のプリセットから選ぶということも可能です。いずれもメールへの添付や高画質を重視した印刷、特定の規格での印刷など、何らかの目的に合わせた設定となっています。そのため、PDFを使用する目的に最適なプリセットを選ぶようにしましょう。目的に必要なクオリティを維持しながら、容量を押さえたPDFファイルが出来上がるはずです。
IllustratorでPDF書き出しする際の注意点
IllustratorでPDF書き出しを行う際には、いくつか注意しなければならないことがあります。
注意を怠ると、PDFファイルの仕上がりが悪くなったり、Illustratorで誰かにファイルを渡した後に問題が発生するかもしれません。
それでは、どのようなことに注意すべきなのかを解説します。
元のデザインと比較すること
IllustratorでPDFファイルの書き出しをすると、稀に色やレイアウトが変わってしまうことがあります。そのため、PDFファイルが出来上がったら、一度開いて確認するようにしましょう。
元になっているIllustratorのデザインと比較して、異常がないかを確かめることが望ましいです。
PDFファイルの内容を確認しなかったら、問題があるデザインを配布したり、イメージと違う印刷をしたりすることになりかねません。それを避けるためにも、確認は怠らないようにしてください。
最適なカラー設定を選ぶ
Illustratorでは、CMYKとRGBという、2通りのカラー設定から選べるようになっています。CMYKは主に印刷物、RGBはWEB上での公開という風に、それぞれ使い道が違います。
そして、PDF書き出しを行う際には、CMYKとRGBを選択可能です。しかし、RGB設定で制作したデザインをCMYKで書き出すなど、別のカラー設定を選択すると、PDFの色合いが変わってしまいます。そのため、最終的にPDF書き出しをするつもりであれば、そのPDFの使用目的に合ったカラー設定でデザインを作り始めましょう。
また、CMYKとRGBはそれぞれ、細かな規格に分かれています。選択する規格でも色味が変わるため、注意して選びましょう。特にPDFを印刷する場合、印刷所はカラー設定を指定していることが多いです。その指定に合わせることで、イメージ通りの仕上がりにできるので、最初にどの規格が指定されているのかを確かめてください。
PDF書き出しをする度に設定を調整
IllustratorのPDF書き出し設定は、基本的に最後のものが維持されます。ずっと同じ設定で書き出しをするのであれば問題ありませんが、印刷用やWEB公開用など、異なる目的で書き出しをする場合は要注意です。目的に合っていない設定で書き出した結果、希望しない形のファイルが出来上がってしまう恐れがあります。そのため、色々な設定でPDF書き出しをする人は、書き出し前に設定に間違いがないか、しっかり確認するようにしましょう。
元のデータの保存を忘れないように
Illustratorで「別名で保存」を選んでPDF書き出しする際には、元データの保存し忘れをしないように注意しましょう。PDFファイルを保存した後に編集を続けたものの、AI形式での保存を忘れるというのはよくある失敗です。PDFの容量を抑えるために「Illustratorの編集機能を保持」のチェックを外していれば、編集した内容は残りません。その失敗を避けるために、「別名で保存」でPDFの書き出しをした後は、そのドキュメントを閉じる習慣を付けましょう。
IllustratorのPDF以外の使い方
IllustratorでPDFの書き出し以外の詳しい使い方を知りたい人は、上記の動画や下記記事を参考にしてください。
コツや注意点を押さえて上手なPDF書き出しを
Illustratorで作成したデザインのPDFへの書き出しは、標準機能を使えば問題なく行なえます。
必要なタイミングで、積極的にPDF書き出しをすると良いでしょう。ただ、何も考えずにPDF書き出しをすると、希望するファイルにならなかったり、扱いづらいデータになったりする恐れがあります。
そういったことにならないよう、PDF書き出し時のコツや注意点もしっかり覚えておいてください。
