3DCGを扱う上で「Maya」を避けて通ることは出来ないでしょう。Mayaは世界中で圧倒的なシェアを誇る3DCGソフトで、ハリウッド映画の現場やCGアニメーション制作スタジオなど、数多くのプロが愛用しています。プロ仕様であるが故に利用料金が高いMayaですが、学生版であれば安価で扱うことができます。その利用方法や条件について確認していきましょう。
Mayaとは
MayaはAutodesk社が提供している3DCGソフトウェアです。3DCGとは縦・横・奥行きの三次元空間をコンピューター上に擬似的に作り、そこで物体を作成したり、アニメーションを作り出す技術のことを指します。
3DCGに関するソフトウェアは初心者用からプロ仕様のものまで数多くありますが、Mayaはその中でもトップクラスの性能を持っているハイエンドソフトウェアです。アニメーションやゲームなど3DCGとして分かりやすい作品はもちろん、実写映画やテレビ、CMなどにも幅広く使われており、世界中のクリエイターが愛用しています。
Mayaは3DCG映像を制作するための機能が一通り搭載されています。3DCGモデルを作り上げる「モデリング」や動きを付けるための「リギング」や「アニメーション」、3Dを2Dの画像に出力するための「レンダリング」など様々な機能を使うことができます。
中でもMayaの大きな特徴の一つが「VFX(Visual Effect/視覚効果)」です。実写の映像とCGを合成することで、現実にはない背景の中を役者が歩いたり、実在しないモンスターと役者が戦ったりする映像を作り出すことができます。Mayaで作り出されるVFXは実写映像との相性が非常に良く、VFX分野では非常に大きなシェアを占めています。
Mayaを含めた、おすすめの3DCGソフト3選については、以下の記事をご参照ください。
Mayaの学生版ライセンスとは
Mayaは非常に高性能な3DCGソフトウェアですが、高性能であるが故に利用価格が高額であることも知られています。Mayaはソフトウェアではなく、ライセンスを購入して使用するサブスクリプション形式ですが、利用料金は以下の通りです。
利用期間 | 価格 |
30日間(体験版) | 無料 |
1か月 | 36,300円 |
1年 | 286,000円 |
63年 | 858,000円 |
以前は機能制限版のMayaLTがありましたが、こちらは2022年12月をもって提供が終了しました。トークンと呼ばれる「1日使用券」を購入して使った分だけトークンを消費するFlex形式もありますが、こちらも年83日使用できるプランで214,500円と決して安くありません。
Mayaの学習をしたいと思ってもソフト料金で二の足を踏んでしまう、そんなときに頼りになるのが「学生版ライセンス」です。これはAutodesk社が学生や教員向けとして、教育機関に限って提供しているライセンスです。
これに登録すると、Mayaを1年間無料で使用することができます。無料だからと機能が制限されている訳ではなく、有料の正規版と同じ機能を使うことができます。また、使用期間は登録してから1年間ですが、再度申請して更新することができればそのまま使い続けることができます。
Mayaの学生版インストール方法
Maya学生版のインストール方法について確認していきます。
1.Autodesk社公式ホームページにアクセスする
Autodesk社公式ホームページにアクセスし、「製品」タブから「教育機関限定ライセンス」を選択します。「EDUCATION COMMUNITY FUTURESKILLING」というページに飛ぶので、「利用資格を確認して、無償アクセスを開始しましょう」箇所から「製品を入手」ページに飛びます。
2.必要事項を入力し、アカウントを作成する
「教育機関限定ライセンスでオートデスク製品にアクセス」ページから「教育限定ライセンスを入手」をクリックすると、「教育者の役割」と生年月日の入力を求められます。必要事項を入力するとアカウント作成ページに飛ぶので、ここでも氏名や電子メールと行った情報を入力します。入力が終了すると登録したメールアドレスに認証用メールが届くので、確認してメール内の「電子メールを確認」をクリック。これでアカウントの確認が完了になります。
3.教育機関を登録する
アカウント確認が完了したら、教育機関の登録に移ります。現在通っている学校名を「教育機関の名前」に入力します。既に学校がAutodesk社に登録しているなら入力候補に名前が出てくるので、そこをクリックしましょう。研究分野の選択では、ゲームや映像について学習しているなら「メディア、エンターテインメント」を選びます。入学年と卒業予定も入力して一旦完了です。
4.証明書をアップロードする
次に、認定教育機関の学生あるいは教職員であることを証明するための証明書をアップロードする必要があります。証明書には種類がありますが、成績証明書、学校発行の確認書、学生証のコピーなどが推奨されています。登録した氏名と学校名が一致する必要があるためよく確認し、期限が決められているので忘れずに行いましょう。
5.インストールを開始する
インストールを始めます。公式ホームページからMayaの「製品を入手」をクリックします。ボタンが「インストール」に変わるので、オペレーティングシステム、バージョン、言語を選択して「インストール」をクリックし、インストーラをダウンロードします。Mayaは異なるバージョンでデータのやり取りを行うことができないため、バージョン選択は注意して行いましょう。
6.ライセンス認証をする
ダウンロードが完了したら、インストーラの解凍を行います。解凍先を選択してOKをクリックし、解凍が完了したらインストーラが起動するので、「インストール」をクリックします。指示に従ってインストールを完了させたら、最後にライセンス認証を行います。Mayaを起動させて「AutodeskIDでサインイン」を選択し、アカウント作成時に登録したアカウント名とパスワードを入力すれば認証は完了、無事Mayaを使えるようになります。
Mayaの学生版が利用できる人
Mayaは非常に高性能なソフトウェアであり、利用料は3DCGの中でも高額です。それを1年間無料で利用できるので学生版は非常に有り難いシステムなのですが、ただ学生であればいいという訳ではありません。まず前提条件として、行政機関によって認定された教育機関に在籍・在学する生徒、又は教員である必要があります。ここでいう「行政機関によって認定された教育機関」とは、「所属する学生の教育を主たる目的とし認可された機関」を意味します。
中学校や高等学校、短期大学や四年生大学などの教育機関の他、認可を受けている自宅学校教育制度も該当します。教会や一般図書館、医療機関、離職者向けのトレーニングプログラムなどは含まれません。また、教員の場合認定された教育機関と雇用契約を結んでいることが利用条件となっています。非正規雇用の場合、契約条件によっては利用できないこともあります。
Maya学生版は、1つのアカウントで最大3台のパソコンにインストールすることができます。自宅のパソコンと授業用ノートパソコンにインストールして場所に応じて使い分ける、ということも可能なので、いろいろな形で学習を行うことができます。学生版の注意点として、学習や教育、トレーニング、研究、開発に使用用途が絞られている点が挙げられます。自分で作った3DCG作品であっても商用利用は出来ません。作ったモデルの配布は無料だとしても避けた方が良いでしょう。
Mayaの具体的な使い方や機能については、以下の記事を参考にしてみてください。
Mayaの学生版についてまとめ
Mayaは第一線で活躍するクリエイターも使用している非常に高性能なソフトウェアですが、高性能なだけに利用料金は高額です。学生であれば学生版を利用することで、1年間無料でハイエンドソフトを使うことができます。学生版の使用には条件が設定されており、在学を証明するための書類も必要になるため、準備した上でインストールするとスムーズです。