現代の映像作品やゲームでは様々な3Dグラフィックが使用されますが、その3Dグラフィック作成に用いられることが多いソフトがMayaです。映像制作のプロの中にも、Mayaを使っている人は大勢います。では、Mayaとは具体的にどういったソフトなのか、主な機能や使い方などを確認していきましょう。
3DグラフィックソフトのMaya
引用:AUTODESK
MayaはAutoDesk社が提供している、3Dグラフィックソフトです。サブスクリプション契約を結ぶことで、利用できるようになります。3Dグラフィックソフトの中でも機能が多い上に、それぞれの機能が高品質であるため、個人と法人を問わず幅広く使用されています。
あらかじめ用意されているツールの数が豊富である点も大きな強みです。クオリティの高い3Dモデルや映像もツールを上手に取り入れれば、比較的容易に作ることができます。
Mayaを使ってできることとは
Mayaは使い勝手の良いソフトなのでできることが多いです。具体的にどういったことができるのか、例をいくつか紹介します。
映像作品の制作
Mayaを使用すれば、3Dモデルを用いた映像作品を作ることができます。実際にハリウッド映画を始めとして、Mayaが映像制作に使用されている例は非常に多いです。現実には存在しない世界や生き物などを表現するためにMayaが使用されます。
Mayaで作れる映像は非常に幅が広く、フルCGのアニメーションだけでなく実写との組み合わせも不可能ではありません。俳優同士のアクションの補完や、実在する建築物を作り変えるといった目的でも使われます。
ゲームの舞台やキャラクター制作
Mayaは3Dゲームの制作にも使えます。ゲームには舞台となる世界やキャラクター・武器など色々な3Dモデルが登場しますが、そういった3Dモデルはひと通りMayaで作ることが可能です。クオリティの高さを求めて、服の模様や建物の壁など、一部の制作のみにMayaが取り入れられることも珍しくありません。
3Dプリンター用データの作成
Mayaは主に3D画像や映像を作るために使用されますが、3Dプリンター用のデータを作ることも可能です。3Dプリンターの形式に対応しているため、CADソフトのような使い方ができます。専用のCADソフトではありませんが、工夫しながらモデリングを行えば、クオリティの高い立体物を作れるでしょう。
Mayaをはじめとした3DCDソフトでできることは、こちらの記事でも紹介しています。
Mayaの代表的な機能
引用:AUTODESK
Mayaには3Dグラフィックに関する豊富な機能が搭載されています。その中でもMayaの軸となっている機能を、いくつか確認していきましょう。
3Dモデリング機能
Mayaの主な機能のひとつとして挙げられるのは、3Dモデリング機能です。立体的な3Dモデルを一から作ることができます。複数の手法から選択して、モデリングできるのも大きな特徴です。
モデリングの手法 | 特徴 |
ポリゴン | 複数の点を繋いで線や面を作る |
NURBS | 曲線を元に形を作る |
スカルプティング | ポリゴンモデルを粘土のように削り出して作る |
立体モデルを2DのUV図に展開したり、頂点を移動させたりするなど、作成した3Dモデルの編集機能も豊富です。
レンダリング機能
Mayaには作成した無機質な3Dモデルに、質感を持たせたり影を付けたりするレンダリング機能もあります。Arnoldというレンダリングエンジンが標準で搭載されていて、独自アルゴリズムで光の反射を計算することが可能です。高度な計算によって自然な光の反射を表現できる点は、Mayaが選ばれる大きな理由となっています。
標準で搭載されている、3Dモデリングの質感であるシェーダはバリエーションが豊富です。標準のシェーダだけでも多種多様な質感を表現できますが、ユーザーがオリジナルでシェーダを作成できる機能も備わっています。
アニメーション作成機能
3Dモデルを使って作成した複数の画像を繋げて、動きのあるアニメーションを作れる機能です。Mayaには効率的にアニメーションを作成するための、豊富な機能が備わっています。
アニメーションの編集はタイムエディタを使って直感的に行える上に、アニメーションカーブを駆使して細かな調整も可能です。いずれの編集も非破壊で行われるため、元となった3Dモデルのデータが損なわれることはありません。
アニメーションの作成は複数人のチームで行う場合がほとんどですが、他のチームメンバーと意思疎通を図るための注釈機能も備わっています。
シミュレーション機能
コンピュータの中で、モデルがどのように動くのかを再現できる機能です。物理演算によって、落下する布や立ち上がる煙などを、自然な形で表現できます。ユーザーはシチュエーションを設定するだけで良いので、一からアニメーションを作成するよりも効率的です。
そのシミュレーション機能を活用して、映像効果であるエフェクトを作成することもできます。使用するシミュレーション次第で、自然現象や人工的に起こされるものまで、幅広いエフェクトを作成可能です。
スクリプトエディタ機能
AI開発などで使われるプログラミング言語のPythonや、専用言語であるMELを使用して、簡易的なプログラムであるスクリプトを作成できる機能もあります。ユーザーが自分でスクリプトを組めば、手間のかかる作業を自動化することが可能です。Mayaに標準搭載されている機能で満足できなかった場合に、必要な機能を作成するということもできます。
Maya以外のおすすめ3DCGソフトはこちらの記事で紹介しています。
Mayaの基本的な使用方法
引用:AUTODESK
Mayaの具体的な使い方は、機能によって大きく異なります。その中でも基本的なものについて解説していきます。
視点を変える方法
Mayaを使用する場合、基礎となる操作方法はどの機能でも変わりません。基本的にはマウスを動かして視点を変えながら、操作をしていきます。
- Altを押した状態でマウスの左ドラッグ:視点が回転
- Altを押した状態でマウスの左ドラッグ:ズームインとズームアウトの切り替え
- Altを押した状態でマウスホイールをクリック:視点が移動
同じ機能はマウスホイールでも代用可能です。これらの操作は高い頻度で使うため、覚えておきましょう。
ポリゴンオブジェクトの作成
Mayaで様々な機能を使用する際には3Dモデルが必要となります。3Dモデルの中でも最も簡単に作成できるのは、ポリゴンオブジェクトです。
Mayaの「ポリゴンのモデリング」タブに、あらかじめ球体や立方体など、ベースとなるオブジェクトが用意されています。その中から任意のものを選択します。
そのオブジェクトに分割線を入れ、線と線が交わる頂点を移動させましょう。そうすると複雑なモデルを作れます。より複雑なモデルを作る場合は、複数のオブジェクトを組み合わせると良いです。
レンダリング
3Dモデルに質感や影を付ける場合は、「Arnold」メニューから「レンダー」を選択します。そして、レンダリングに使用するレンダラーを選びましょう。その後でどのような場面なのか、シーンを決めたり細かな調整をしていく流れとなります。
レンダリングではレイヤごとにシーンを設定可能です。複数レイヤを重ねがけして、3Dモデルをよりリアルな見た目に仕上げることができます。
Mayaの使い方を詳しくししたい方には、こちらの動画がおすすめです。
映像制作業界で需要が高いMaya
映像制作に使用できる3Dグラフィックソフトは色々な種類がありますが、その中でもMayaが使用される場面は非常に多いです。Mayaを標準ソフトとして使っている映像制作会社も少なくありません。本格的に映像制作に携わりたいのであれば、高い需要が見込めるMayaを使いこなせるようになる方が良いでしょう。
