クロスプラットフォームのゲームエンジンであるUnityは、ゲーム開発を始めとしたさまざまなコンテンツ制作に活用されています。Unityという名前を聞いたことがあるけれども、具体的にどういうものなのかはよく分からない、という人も多いでしょう。
そこで今回はUnityとは何か、どのような機能があるのか、使い方の手順などについて詳しく解説します。
Unityとは?
Unityとは、ユニティ・テクノロジーズ社が開発・提供しているクロスプラットフォームのゲームエンジンです。主にゲーム開発に使用されます。ゲームエンジンと定義されているものの、グラフィックスや物理演算、アニメーション、音響、人工知能などの要素を統合したゲーム作成のための総合開発プラットフォームです。
3Dや2Dのビジュアルコンテンツを制作したり、開発したコンテンツをWindowsやMac、iOS、Android、PlayStation4、Xbox One、Nintendo Switchといった異なるプラットフォームで実行できるようにしたりする機能も有しています。また、アセットと呼ばれる素材データを活用することで効率的にゲーム開発ができるのも大きな特徴です。
Unityの価格
プラン | 年間の価格(税込) |
Personal | 0円 |
Plus | 48,394円 |
Pro | 267,960円 |
Industry | 653,400円 |
Unityには、
- 個人向けの「Personal」
- チーム向けの「Plus」
- チーム向けの「Pro」
- 「Industry」
という4つのプランがあります。
個人開発者や学生向けの「Personal」プランは無料で基本的な機能を利用可能ですが、収益規模が一定以下でなければなりません。より収益を上げるための商用ゲームやアプリを制作する場合、有料である「Plus」プランか「Pro」・「Industry」プランに登録する必要があります。「Plus」プランは個人やチーム向けに設計されたプランです。「Pro 」プランはより柔軟性を必要とするプロの個人やチームのために用意されています。
Unityではどんなことができる?
Unityにはさまざまな機能が搭載されており、さまざまな用途に使用されています。
そのなかから、いくつかの主な用途を紹介しましょう。
ゲーム開発
ゲーム開発はUnityのメインともいえる機能です。
Unityは非常に広範なゲーム開発プロジェクトで利用されており、3Dや2D、モバイル、コンソール、PCなどさまざまなプラットフォームでのゲーム制作に使用されています。
Unityのゲーム開発機能はゲーム業界における開発の効率化とクオリティ向上に大きな役割を果たしているといえるでしょう。
仮想現実 (VR) および拡張現実 (AR) の開発
Unityは、VRヘッドセットやARデバイス向けのアプリケーションを開発するためのツールでもあります。実際、Unityはリアルタイム3Dの制作やアプリケーション開発に優れたプラットフォームとして、多くのVRおよびARプロジェクトで使用されています。
シミュレーション
Unityのリアルタイム3Dエンジンはさまざまな種類のシミュレーションプロジェクトに適しており、訓練、教育、研究などの領域で活用されています。例えば、産業プロセスのシミュレーション、医療訓練、都市計画、交通シミュレーションなどです。
教育
Unityは教育機関や学習プラットフォームといった教育分野でも広く利用されています。
例えば、プログラミングやゲーム開発、アニメーション、3Dモデリングなどの分野でUnityを使用して学習するプログラムが提供されています。
また、学生や教育関係者はUnityを活用してインタラクティブなコンテンツを制作したり、プロジェクトベースの学習を行ったりすることが可能です。
マーケティングおよび広告
Unityは広告やマーケティングの分野でも利用されています。Unityを使用すれば、インタラクティブな広告キャンペーンやバーチャルプロモーションを制作できるからです。
例えば、AR(拡張現実)を活用した広告やマーケティングコンテンツの多くがUnityを使って制作されています。
また、Unityのリアルタイムエンジンを利用して製品のデモやシミュレーションを作成することも一般的です。これにより、製品やサービスの特徴を視覚的に伝えることができます。
Unityの企業事例
Unityは企業のビジネスでも利用されており、
- Nintendo Switchの新ゲーム
- インターネットでの人気ゲーム
- VR・AR
こういったゲームやコンテンツにも利用されています。大きなものではポケットモンスターの新しいゲームもUnityで作られており、非常に話題となっています。
Unity以外で作られたものもありますが、人気のVRゲームに関しては下記記事でも詳しく解説しています。
Unityの使い方
ここからは、Unityの使い方としてプロジェクトを開始する手順を解説します。
Unity Hubのインストール
Unity Hubは、Unityのバージョン管理やプロジェクトの管理を行うためのツールです。
まず、Unityを使い始める前にUnity公式ウェブサイトからUnity Hubをダウンロードしてインストールしましょう。
Unityのインストール
Unity Hubを起動したら、インストールしたいUnityのバージョンを選択してインストールします。個々のプロジェクトで異なるバージョンを使用することも可能です。
新しいプロジェクトの作成
Unity Hubで「プロジェクト」タブを選択し、新しいプロジェクトを作成しましょう。
プロジェクト名や保存場所、テンプレートを選択します。
3Dまたは2Dのプロジェクトを選ぶこともできます。
Unityエディタの操作
プロジェクトを新規作成すると、Unityエディタが開きます。
ここでゲームオブジェクト、シーン、アセット、スクリプトなどを管理および編集しましょう。ヒエラルキービュー、シーンビュー、インスペクタービューなどのパネルが利用可能です。
アセットの追加
Unityはアセットベースのシステムを持っており、3Dモデルやテクスチャ・サウンド・スクリプトなどのアセットをプロジェクトに追加できます。
シーンの構築
シーンビューでゲームのシーンを構築しましょう。ゲームオブジェクトを配置し、配置したオブジェクトのプロパティや挙動をインスペクタービューで調整します。
スクリプトの作成
C#などのスクリプトを作成してゲームのロジックを追加しましょう。
スクリプトはUnityエディタ内で編集できます。
プレビューとテスト
シーンビューでゲームのプレビューを行い、動作を確認します。
さらに、Unityエディタ内でテストプレイを実行して動作を確認することも可能です。
ビルドとデプロイ
ゲームが完成したら、対象プラットフォーム(Windows・Mac・iOS・Androidなど)に向けてビルドを行います。ビルドしたアプリケーションはプラットフォームにデプロイして公開できます。
Unityを使うメリット
その柔軟性と豊富な機能でさまざまなプロジェクトに適用できるUnityには、使用することで得られるさまざまなメリットがあります。ここからは、そのなかのいくつかを紹介しましょう。
クロスプラットフォーム対応
Unityは、Webやスマホ・家庭用ゲーム機といった異なるプラットフォームで動作するゲームやアプリを開発できます。一度制作すれば複数のプラットフォームで展開できるため、開発効率の向上にもつながるでしょう。
ビジュアルコンテンツの制作
Unityには使いやすいエディタとアセット管理システムが搭載されています。
これらを活用して3Dや2Dのビジュアルコンテンツを制作することで、グラフィックとアニメーションを容易に統合できます。
アセットストアとコミュニティ
Unityのアセットストアには、グラフィック・サウンド・エフェクト・プラグインといったさまざまなリソースが用意されています。また、Unityには広大なコミュニティがあり、質問や情報交換ができます。そのため、開発プロセスを円滑に進められるでしょう。
リアルタイムプレビュー
Unityはエディタ内でゲームのプレビューを実行できます。そのため、変更を即座に確認しながら開発することが可能です。デザインや挙動の調整もスムーズに行えます。
コミュニティドキュメントとサポート
Unityには豊富なドキュメントやチュートリアルがあるため、問題が発生した際に解決策を見つけるのが容易です。公式サポートも提供されており、開発者が効果的に問題を解決できる環境が整っています。
この機会にUnityを始めてみよう!
豊富な機能が搭載されているUnityは、プロの開発者になってからも使い続けることのできるゲームエンジンです。その使い方は広汎にわたるので、興味がある人はまずは無料で始められる「Personal」プランに登録してみましょう。そうして実際に使ってみながら覚えるのがおすすめです。