Illustratorを使って仕上げたデザインは、クライアントへの納品したり、印刷所へ入稿したりすることも多いでしょう。その際に必要となるのがアウトライン化という作業です。
アウトライン化をしなければ、せっかく作ったデザインが別の環境で崩れてしまう可能性が高いです。今回はIllustratorのアウトライン化とは具体的にどのような作業なのか、詳しい方法やコツなどを解説していきます。
Illustratorのアウトライン化とは
まずはIllustratorのアウトライン化とは何かを確認しましょう。
テキストを図形に変えること
Illustratorのアウトライン化とは、オブジェクトの輪郭を元に、図形へと変換させることです。主にテキストデータを図形に変えるために使用されます。
Illustratorには標準でテキストを入力できる機能が備わっていますが、使用するのはパソコンに入っているフォントです。別のパソコンにデータを移した場合、作成時に用いたフォントが使えなかったり、別のフォントが反映されたりする恐れがあります。
それを防ぐためにアウトライン化をして、テキストを図形にしてしまうわけです。図形であればどのような環境であっても、形が変わることはありません。
テキストを含むデータ納品時には必須
印刷物のデザインをIllustratorで作成した場合、最終的にデータを印刷所に入稿することになります。その際にアウトライン化はほぼ必須です。アウトライン化をしなければ、デザインが崩れた状態で印刷してしまう可能性が高いからです。
そして、Illustratorのデータは印刷所で修正することはできません。よってアウトライン化をしていないデータは、印刷を拒否されたり修正を求められたりするでしょう。データ形式のデザイン制作を依頼するクライアントも、仕上げでアウトライン化を行うことを求めることが多いです。
図形もアウトライン化が必要な場合がある
Illustratorのアウトライン化は、主にテキストに対して施すものです。ただし状況によっては、図形にもアウトライン化が必要になることがあります。
特に輪郭の太さをしっかり維持したい場合、アウトライン化が欠かせません。Illustrator上で輪郭の線を太くしても、その太さが反映されない恐れがあるからです。アウトライン化によって、太さの情報を含んだ輪郭を維持しなければなりません。
ブラシなどを使って複雑で細かいデザインを作成した時も、その細かさを維持するためにアウトラインが必要です。アウトライン化をすれば、別の環境であっても細部が潰れにくくなります。
Illustratorのその他の機能や使い方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
Illustratorでアウトライン化をする方法3ステップ
それではIllustratorでアウトライン化をする方法を、手順ごとに詳しく確認していきましょう。
1.テキストを入力する
Illustratorでアウトライン化をする際には、まず必要なテキストは全て入力してしまいましょう。一度アウトライン化をするとテキストとしての編集ができなくなるため、テキストのフォントやサイズなどもあらかじめ決めておいてください。その後でデザイン工程の仕上げとして、アウトライン化を行います。
2.オブジェクト全てを選択してアウトライン化
Illustratorでアウトライン化をするには、メニューバーの「選択」から「すべて選択」を選び、全部のテキストを指定してください。その後、「書式」から「アウトラインを作成」を選択すると、アウトライン化が完了します。
3.フォント検索で最終確認
アウトライン化が完了したら、念のためテキストが残っていないかを確認しましょう。「書式」から「フォント検索」を選んでください。
出てきたウィンドウ上で、ドキュメントのフォントが0になっていれば、全てのテキストがアウトライン化されています。フォントが検出されてしまったら、アウトライン化されていないテキストが残っているので、やり直しましょう。
Illustratorで図形をアウトライン化する方法
Illustratorでテキストではなく図形をアウトライン化するには、まず対象となる図形を選択してください。そして「オブジェクト」から「パス」、「パスのアウトライン」を選びましょう。選択した図形の輪郭が新しい図形として認識されます。
Illustratorでアウトライン化する方法は、こちらの動画でも紹介されています。
Illustratorでアウトライン化できない時の原因・対処方法
Illustratorでは様々な理由でアウトライン化ができない場合があります。そのような時にはどうすれば良いのか、原因ごとに解説します。
ロックがかかっている
Illustratorにはミスによる変更をしてしまわないように、ロックをかけられる機能があります。そのロックがかかっていると、アウトライン化もできません。よって、ロックを解除しましょう。
Illustratorのロックは、レイヤー用とオブジェクト用の2通りがあります。
ロックの種類 | 解除方法 |
レイヤー用 | レイヤー画面にある南京錠のマークをクリック |
オブジェクト用 | 「オブジェクト」から「すべてをロック解除」 |
2つのロックを解除すれば、問題なくアウトライン化できるでしょう。
グループ化されている
テキストが他のオブジェクトとグループ化されている場合も、アウトライン化はできません。
- テキストを選ぶ
- 「オブジェクト」から「グループ解除」を選択
上記の手順でグループ化を解除し、アウトライン化ができるようになります。アウトライン化後に、あらためてグループ化すると良いでしょう。
エンベロープ文字が使われている
Illustratorにはテキストの形を変えられるエンベロープ機能があります。そのエンベロープで変形させたテキストは、通常の方法ではアウトライン化できません。
アウトライン化するには、テキストを選択した状態で「オブジェクト」から「エンベロープ」、「拡張」を選びましょう。アウトライン化した状態のテキストを、エンベロープで変形させるという方法もあります。
パターン文字になってしまっている
テキストが背景などで使用するパターン文字になっている場合も、そのままではアウトライン化ができません。
- テキストを選んで「オブジェクト」から「分割・拡張」を選択
- パターン登録を解除
- 通常のアウトライン化を行う
基本的にはパターン登録する前にアウトライン化を済ませることをおすすめします。
Illustratorでアウトライン化するコツ
Illustratorのアウトライン化機能を使いこなすには、いくつかコツがあります。そのコツを紹介します。
ショートカットを駆使する
Illustratorのアウトライン化は、メニューバーを使用せずショートカットで行うことも可能です。
- アウトライン化:テキストを選択した状態で「Ctrl」「Shift」「O」の同時押し
- テキストを全て選択:「Ctrl」と「A」キーの同時押し
このようにマウス操作をせず、2つだけの手順でアウトライン化を済ませることも不可能ではありません。アウトライン化を多用するのであれば、ショートカットを活用するようにしましょう。
アウトライン化前のデータは残しておく
アウトライン化をするとテキストとしての編集ができなくなります。そのため仕上げ段階でアウトライン化をしなければなりません。しかしデザインの制作途中で、アウトライン化が必要になることもあるでしょう。
その場合は、アウトライン化前のデータを別で保存することをおすすめします。そうすれば、万が一修正したい時に元のデータを使えます。仕上げの際にアウトライン化をする場合も、別データを保存した方が無難でしょう。
Illustratorのアウトライン化を覚えよう
Illustratorのアウトライン化は、主にテキストを用いたデザインに対して行います。そのため、テキストがないデザインで必要になることは少ないです。
ただIllustratorではロゴやチラシの作成などテキストを用いる場面が数多くあるため、アウトライン化の作業はほぼ必須といえるでしょう。仕上げ作業の一環として、自然とアウトライン化の機能を使いこなせるようになっておくと良いです。