Photoshopでは、背景を透明にして人物だけを切り抜く方法があります。
人物の切り抜きは合成に活用されることが多いため、やり方を理解しておけば幅広いシチュエーションで利用できます。
しかし、Photoshopの機能について詳しくない方は「どのようにして人物を切り抜けばいいのかわからない」という悩みもあるでしょう。
当記事では、Photoshopで人物の切り抜きをおこなうテクニックを詳しく解説します。
人物を綺麗に切り抜く方法を理解できるので、ぜひ参考にご覧ください。
Photoshopで人物の切り抜き方はいくつもある
Photoshopではツールや機能を使うことで、人物の切り抜きをおこなえます。
代表的なやり方としては「選択とマスク」機能を使って人物の切り抜きをおこないますが、ほかにも「被写体を選択」機能でも同じように対応できます。
画像はシンプルなものから複雑なものまで幅広いため、状況に合わせて切り抜き方を変更することが大切です。現在ではPhotoshopのAI技術も進歩しており、髪の毛などの細かな部分を短時間で切り抜けます。
Photoshopではさまざまな方法で人物の切り抜きをおこなえるので、画像に合わせて使い分けるようにしましょう。
Photoshopで人物の切り抜きをおこなうメリット
Photoshopで人物の切り抜きをおこなうメリットとして、以下の2点が挙げられます。
- 写真の合成に利用できる
- Web広告・ポスターを制作できる
それでは詳しく説明します。
写真の合成に利用できる
画像編集において、人物の切り抜きは合成のために利用されることが多い方法です。
例えば看板や雑誌などの成果物は、人物の切り抜きをしてオシャレな雰囲気に見せています。
人物の切り抜きをおこなえばサイズ変更も自由にできるので、背景とのバランスを考えて調整可能です。Photoshopでは複数の切り抜き画像を使って合成することが多いため、人物の切り抜き方を理解しておけば応用の幅も広がるでしょう。
Web広告・ポスターを制作できる
Web広告やポスターといった作品には、人物の切り抜きが利用されています。
代表的な画像編集ツールとして利用されているPhotoshopなら、手間をかけずに人物の切り抜きをして求める成果物を制作できます。
実際にプロのクリエイターがPhotoshopを使って成果物を制作しており、知らずのうちに目にしていることも多いです。Photoshopなら人物の切り抜きによって初心者でも本格的な成果物を制作できるため、方法を知っておけば大きなメリットとなるでしょう。
Photoshopで人物の切り抜きに便利なツール・機能
Photoshopは、人物の切り抜きに便利なツールや機能が豊富にあります。
こちらでは、人物の切り抜きに利用できるツール・機能の詳細や特徴について解説します。
すぐに内容を理解したい方は、下記の表も参考にご覧ください。
ツール・機能 | 特徴 |
ブラシツール | 画像に線や絵柄を描ける |
クイック選択ツール | 選択範囲をドラッグすることで被写体を自動選択できる |
自動選択ツール | 自動的に選択範囲を作成できる |
オブジェクト選択ツール | 画像内の人物や動物、物、建物などを自動的に選択できる |
境界線調整ブラシツール | 背景と被写体の境界を検出できる |
選択とマスク | 被写体と背景の境界線を自動的に検知できる |
被写体を選択 | 被写体を1クリックで選択できる |
ブラシツール
ブラシツールは、画像に線や絵柄を描けるツールです。
イラスト作成やレイヤーマスク作成に使われることが多く、人物の切り抜きにも利用されます。
人物の髪の毛と背景の境界が切り抜けなかったときにブラシツールを使い、細かく塗ることで綺麗に切り抜けます。ブラシツールは幅広い用途で利用できるため、人物以外の切り抜きにも便利です。
クイック選択ツール
クイック選択ツールは、選択範囲をドラッグすることで被写体を自動選択できるツールです。
被写体の全体的な選択ができるため、人物の切り抜きに利用できます。
コントラストの差が十分な画像であるほど選択しやすく、特定のキーを押すことで選択範囲の追加・削除が可能です。人物の全体的な範囲を選択したいときは、クリック選択ツールの利用をおすすめします。
自動選択ツール
自動選択ツールは、自動的に選択範囲を作成できるツールです。
1クリックだけで被写体の形を自動的に選択できるため、人物の切り抜きにも利用できます。
クイック選択ツールと同じく被写体と背景のコントラストや色がはっきりしているほど、綺麗に選択可能です。人物の髪の毛まで綺麗に選択することは難しいですが、全体的な範囲を手間なく選択したいときには最適です。
オブジェクト選択ツール
オブジェクト選択ツールは、画像内の人物や動物、物、建物などを自動的に選択できるツールです。オブジェクトファインダーが有効になっているときに利用でき、選択範囲は赤色になります。
オブジェクト選択ツールで大まかな範囲を選択し、ブラシツールを使って細かな部分を調整します。複数の被写体があるときに1つだけを選択したいときは、オブジェクト選択ツールが便利です。
境界線調整ブラシツール
境界線調整ブラシツールは、背景と被写体の境界を検出できるツールです。
境界を検出したい部分をブラシでなぞることで、設定したブラシサイズの範囲内にある境界を検出します。
例えば髪の毛の細かな部分を境界線調整ブラシツールでなぞると、綺麗に切り抜きができます。
細かく選択範囲を調整したいときは、境界線調整ブラシツールが最適です。
選択とマスク
選択とマスクは、被写体と背景の境界線を自動的に検知できる機能です。
髪の毛のような細かな範囲まで選択でき、レイヤーマスクによって人物を切り抜けます。
被写体と背景がはっきりしていない画像には不向きですが、スピーディに手間なく切り抜ける点が特徴です。境界線調整ブラシツールと併用すれば、髪の毛まで綺麗に切り抜けるようになります。
被写体を選択
被写体を選択は、被写体を1クリックで選択できる機能です。
選択ツールや選択範囲メニューのなかに含まれる機能となっており、人物画像の切り抜きを短時間でおこなえます。
ほかの機能と同じく被写体がはっきりしている必要がありますが、スピーディに切り抜きができるので便利です。被写体を選択によって大まかな範囲を選択し、選択とマスクにある境界線調整ブラシツールを使用すれば人物を綺麗に切り抜けます。
Photoshopで人物の切り抜きをおこなうテクニック
それでは本題であるPhotoshopで人物の切り抜きをおこなうテクニックを紹介します。
人物は画像によってコントラストの差が十分ではないこともあり、状況に合わせて切り抜き方を使い分ける必要があります。
基本的な方法で人物を切り抜くときは、以下のステップでおこなってください。
ステップ①Photoshopで人物の画像を開く
Photoshopのアプリケーションを開き、人物の画像ファイルを開いてください。
ステップ②「選択範囲」メニューから「選択とマスク」を選択する
上部「選択範囲」メニューにマウスカーソルを合わせて「選択とマスク」を選択してください。
ステップ③属性パネルから「表示」を「オーバーレイ」に変更する
右部にある属性パネルから「表示」の右側をクリックして「オーバーレイ」に変更してください。
ステップ④「クイック選択ツール」で切り抜きたい部分をクリックもしくはドラッグする
左項目のツールバーから「クイック選択ツール 」を選択して、人物の切り抜きたい部分をクリックもしくはドラッグします。
ステップ⑤「境界線調整ブラシツール」で境界線上の毛をドラッグする
左項目のツールバーから「境界線調整ブラシツール」を選択して、人物の細かな毛をドラッグしていきます。
ステップ⑥属性パネルの「出力先」を「レイヤーマスク」に設定する
右項目の属性パネルから下部にある「出力先」を「レイヤーマスク」に設定します。
ステップ⑦「OK」ボタンをクリックする
属性パネルの設定を終えたら「OK」ボタンをクリックすると、人物のみを綺麗に切り抜けます。
以上の手順で、画像から人物を切り抜くことができます。
背景が透明の状態で画像ファイルを保存したいときは、ファイル形式を「PNG」にしておきましょう。
人物を細かく切り抜く方法
人物を細かく切り抜くときは、ツールバーにある「ブラシツール」を使いましょう。
ブラシツールを使うことで、人物の髪の毛と背景の境目を綺麗に切り抜けます。
人物を細かく切り抜きたいときは、以下のステップでおこなってください。
ステップ①ツールバーから「クイック選択ツール」を選択する
左項目のツールバーから「クイック選択ツール」を選択します。
ステップ②オプションバーから「被写体を選択」を選択する
上部のオプションバーから「被写体を選択」を選択します。
ステップ③オプションバーから「選択とマスク」を選択する
被写体を選択したら、オプションバーの右にある「選択とマスク」を選択します。
ステップ④ツールバーから「境界線調整ブラシツール」で細かな髪の毛をドラッグする
左項目のツールバーから「境界線調整ブラシツール」を選択して細かな髪の毛をドラッグします。
ステップ⑤出力先を「新規レイヤー(レイヤーマスクあり)」に選択する
人物を細かく選択したら、右項目の下部にある出力先を「新規レイヤー(レイヤーマスクあり)」に選択します。
ステップ⑥ツールバーから「ブラシツール」を選択する
左項目のツールバーから「ブラシツール」を選択します。
ステップ⑦オプションバーから「オーバーレイ」を選択する
オプションバーから「オーバーレイ」を選択して髪の毛をなぞります。
以上の手順で、人物を細かく切り抜けます。
人物の髪の毛は背景と合わさってしまいがちなので、切り抜くときは細かな調整が必要です。
人物の髪の毛を切り抜きたいときは、以下の参考動画も合わせてご覧ください。
Photoshopで切り抜いた人物を背景と馴染ませる方法
こちらでは、切り抜いた人物を背景画像と馴染ませる方法を解説します。
人物を背景と馴染ませることで、違和感をなくして自然な印象になります。
切り抜いた人物を背景と馴染ませるときは、以下のステップでおこなってください。
ステップ①背景画像に切り抜いた人物画像を配置する
Photoshopを開き、背景画像に切り抜いた人物画像を配置します。
ステップ②レイヤーパネルから人物レイヤーを複製する
右項目のレイヤーパネルから、人物レイヤーを右クリックして複製します。
ステップ③描画モードを「乗算」にする
レイヤーパネルの「通常」をクリックして、描画モードを「乗算」に変更します。
ステップ④レイヤーパネルから複製前の人物レイヤーにマスクを作成する
レイヤーパネルから複製前の人物レイヤーを選択し、下部にあるレイヤーマスクをクリックして作成します。
ステップ⑤複製前のレイヤーを複製したレイヤーの上にする
レイヤーマスクを作成した複製前のレイヤーを選択し、複製したレイヤーの上にドラッグします。
ステップ⑥複製前の人物レイヤーにあるエッジ部分を不透明度20%「ブラシツール」で黒く塗る
複製前の人物レイヤーを選択し、髪の毛のエッジ部分を不透明度20%の「ブラシツール」で黒く塗ります。
以上で、切り抜いた人物を背景と馴染ませられます。
エッジ部分が目立たなくなるので、人物と背景が自然な印象となります。
Photoshopで人物の切り抜きが難しい写真について
Photoshopでは、人物の切り抜きが難しい写真も存在します。
例えば金髪の人物の背景が白色だったり、黒髪の人物の背景が黒色だったりすると切り抜きが難しいです。
被写体と背景が同系色になっているとコントラストの差がわかりづらいので、人物を選択しづらくなります。それでも人物の切り抜きをしたいときは、ブラシツールを使って細かく描いていく必要があります。
もし別の写真を用意できるのであれば、無理に切り抜こうとせずに新しい写真で代用しましょう。
Photoshopの切り抜きについてまとめ
今回は、Photoshopで人物の切り抜きをおこなうテクニックを詳しく解説しました。
Photoshopには人物の切り抜きに利用できるツールや機能が豊富にあるため、さまざまな方法で切り抜けます。
切り抜いた人物は写真の合成やWeb広告、ポスターの制作に利用できるので、活用の幅が広いです。ぜひ当記事で紹介した方法を試し、Photoshopで人物の切り抜きをはじめてみましょう。