Unityは高度なゲーム開発ができる機能に優れた統合開発環境として知られていますが、ゲーム開発に必要な素材、いわゆるアセットを豊富に使える環境が整っている点も高く評価されています。
この記事では、そんなUnityを使ったアセット運用において、知っておきたいアセットの概要やアセットの入手に役立つアセットストアについて、人気のアセットと合わせて解説します。
Unityについて
Unityは、ゲーム開発や3Dモデリング、シミュレーションなどの機能を備えた、アプリケーション開発用プラットフォームです。世界で最もポピュラーなゲームエンジンの一つとしても知られており、多様なゲーム開発に採用されています。
直感的な操作を可能にするインターフェースや、あらゆるゲームジャンルに対応する豊富な開発機能を備え、3Dおよび2Dの視覚的なコンテンツ作成、およびデプロイの機能を備えているゲームエンジンです。使用するプログラミング言語はC#と呼ばれるもので、OSやハードを問わない、幅広いプラットフォーム上でのシームレスなゲームプレイに対応しています。
Unityにおけるアセットとは
Unityにおけるアセットとは、ゲームを作る上で用いる素材全般のことを指す言葉です。ゲームには主人公や敵キャラクター、障害物、アイテムなど、さまざまなオブジェクトが登場しますが、ゲーム制作においてはこれらを開発者が自前で用意する必要があります。
また、物理的な要素以外にもオブジェクトの質感をつかさどるテクスチャや、効果音にBGM、キャラクターのモーションなど、多様な要素がUnityにおいてはアセットとして扱われます。
豊富なアセットを用意し、ゲームに実装できるようになれば、高品質なゲーム開発へ大きく貢献します。Unityでプロジェクトを立ち上げ、プロジェクト内で使用したアセットについては、プロジェクト下にある「Assets」フォルダ内にて全て格納されています。現在のプロジェクトでどのようなアセットを使用しているかは、このAssetsフォルダを参照することで確認可能です。
Unityアセットストアとは
通常であれば、ゲーム開発に使用するアセットは全て自前で用意しなければなりませんが、Unityを使用したゲーム開発の場合、Unityアセットストアと呼ばれるアセット専門のストアを利用することで、簡単にアセットを揃えることができます。
Unityアセットストアでは、無料・有料を問わずさまざまなアセットがUnity公式、あるいはサードパーティから提供されています。予算や必要に応じて、開発中のゲームに適したアセットを自由に使用することが可能です。
アセットストア内で販売されているアセットについては必要に応じてアップデートが行われているだけでなく、現在も次々と新しいアセットが登場しています。最新のゲーム開発に適した、質の高いアセットを手に入れたい場合にも重宝する機能です。
Unityアセットの種類
Unityアセットストアで提供されているアセットには、大きく分けて以下の2種類のライセンス形式が存在します。それぞれの違いについて、ここで確認しておきましょう。
シートライセンス | サイトライセンス | |
ライセンス範囲 | 1ユーザーにつき1アセット | 同組織内であれば何人でも利用可能 |
個人利用の場合 | 問題なし(商用利用の確認は必要) | 問題なし(商用利用の確認は必要) |
シートライセンス
シートライセンスは、1ユーザーにつき1つのダウンロードが必要なアセットに適用されているライセンス形態です。Unityを使って複数の開発者と共同で作業をしている場合、複数人で一つのアセットを使い回す機会も出てくるかと思います。
シートライセンスが適用されているアセットを使用するときは、開発に携わるユーザーが全員そのアセットを使用するライセンスを持っていないと、規約違反として罰則が適用される可能性があります。
サイトライセンス
サイトライセンスは、同じ組織のメンバーであれば1つのライセンスで何人でも使い回すことができるというライセンス形態です。上記のシートライセンスよりもカジュアルにアセットを使い回すことができるので、安心して複数人でのゲーム開発を進めることができるでしょう。
なお、一個人でUnityを使ったゲーム開発を行う場合は、これらのライセンス形態を気にすることなくアセットを使うことができます。
Unityでアセットを活用するメリット
Unityアセットストア経由でアセットを入手し活用することは、ゲーム開発者に以下のようなメリットを与えてくれます。
無料で利用ができる
アセットストアに陳列されているアセットには有料のものが多く存在しますが、無料のアセットも同様に多種多様なものが揃っています。無料のサービスは機能制限があるケースが多いものですが、アセットストアに並んでいるものについては個人でのゲーム開発には十分なレベルのアセットを自由に選ぶことができるため、無料だからといって満足のいくゲームが作れない、という心配はありません。
スピーディに素材を手に入れられる
Unityアセットストアは、Unityエディタからシームレスに利用することができるので、アセットのダウンロードが面倒で使いこなせないという心配はありません。
素材が新たに欲しくなった時、いつでもすぐに展開してアセットストアから気になるものをダウンロードし、その場で開発中のゲームに適用するといった使い方ができ、開発業務の生産性向上に貢献するでしょう。
質の高い素材も簡単に入手できる
Unityアセットストアの有料パッケージには、最新のゲーム開発にも採用されているような質の高いアセットも少なくありません。リアルな人がたの3Dモデルや、精巧な質感を再現したテクスチャ、丁寧に作られた効果音など、ハイエンドなゲーム開発をサポートするアセットが無料アセットなどと同様にダウンロード可能です。
専門のデザイナーやアーティストにアセット制作を依頼する必要がなくなったり、他所のサイトからダウンロードする手間もかからなかったりなど、とにかく利便性とクオリティに優れたサービスと言えるでしょう。
Unityアセットストアの利用方法
それでは実際に、Unityのアセットストアにアクセスして利用してみましょう。利用方法は至ってシンプルです。
アセットストアのアクセス方法
まずはいつも通りUnityエディタを開いて、プロジェクトに入ります。メニューバーの「Window」から「Asset Store」を選択しましょう。すると、Unityアセットストアウィンドウが展開されます。また、通常のWebブラウザからもアセットストアを開くことができます。
アセットストアウィンドウ内では、検索バーを使用して欲しいアセットをキーワードで検索できます。検索結果を表示して気になるアセットがあった場合はクリックして選択し、詳細ページに移動可能です。詳細ページでは、アセットの説明や価格、ユーザーレビューなどが確認できます。
アセットの入手方法
気になるアセットを見つけて、ダウンロードしたい場合は詳細ページの「Add My Assets」をクリックしましょう。無料版ならそのままダウンロードが実行されアセットを利用可能です。
有料版の場合は一度購入手続きを挟む必要があります。「Add My Cart」をクリックして購入手続きを進め、決済完了後にダウンロードできます。
Unityで人気のアセット
Unityアセットストアを初めて利用する場合、まずは無料のアセットをダウンロードしてみるところから始めましょう。以下は人気の高い無料のアセットです。
Starter Assets – Third Person Character Controller
こちらのアセットは、3人称視点のキャラクター操作を可能にする機能が備わったアセットです。3Dゲーム制作には欠かせないコントロール機能を、簡単に実装できます。
Substance 3D for Unity
Adobeが提供するこちらのアセットは、フォトリアルな物質表現を実装させてくれるアセットです。個人では製作が困難なリアルな描写を、ゲームに盛り込むことができます。
Cartoon FX Remaster Free
カートゥーン調のエフェクトを盛り込むのに活躍するのが、こちらのアセットです。ポップで可愛らしい表現を追加したい場合、このアセットが役に立ちます。
Unityアセットストアを有効活用するポイント
Unityのアセットストアを利用するに当たっては、
- 外部サイトよりもアセットストア内の素材を優先的に活用する
- アセットごとに定められた規約に注意する
- 無料版にこだわらず有料アセットにも注目する
といったポイントを押さえておきましょう。3Dモデルなどのアセットはアセットストア以外からもインポートして利用が可能ですが、Unityでの利用がサポートされていない可能性もあります。特にこだわりがない限り、アセットストアのアセットを利用するのが互換性の面では最もベターです。
上でも触れた通り、アセットごとに異なるライセンス規約が定められているため、あらかじめ利用条件を確認することも大切です。規約違反とならない範囲で運用しましょう。
また、アセットストアは無料のアセットだけでなく、有料のアセットも豊富に揃っています。質の高いゲーム作りにも興味が湧いた場合には、有料のアセットもどんどん活用し、高度なゲーム開発に役立てましょう。
Unityアセットについてのまとめ
この記事では、Unityにおけるアセットの役割や、アセットストアの使い方について解説しました。アセットを有効活用できるようになれば、Unityにおけるゲーム開発の幅は大きく広がります。
アセットには豊富な種類があり、アセットストアの素材はどんどん新しいものが追加され続けています。有料・無料を問わず自身のゲーム開発に役立ちそうなものは、積極的に活用しましょう。