Blenderでアニメーション制作を始めたい初心者の方のために、この記事ではシンプルなアニメーションの作成方法を詳しく解説しています。
移動、回転、拡大・縮小などの基本的な要素を通じて、Blenderの操作画面で手順を追いながら10分で制作できるアニメーションを学びましょう。
実際に動画ファイルとして出力する方法までまとめていますので、最後までチャレンジしてみてください。
Blenderで作ろう【基本的なアニメーション】
Blenderでアニメーションを作るには、下記の流れが基本です。
- 3Dビューポートにオブジェクトを配置
- タイムラインを開く
- 最初のフレームにキーフレームを打つ
- フレームを移動し、キーフレームを打つ
キーフレームとは特定のフレームでオブジェクトの状態を記録するものです。アニメーションの開始と終了の位置を指定します。
オブジェクトを好きな位置や大きさ、回転具合を決め、その状態でキーフレームを打ちます。
そのフレームでの状態が記憶され、次のフレームまでなめらかにつながるようになっているのが特徴です。Blenderでは、コマ撮りのように何十箇所もキーフレームを打つ必要はありません。
ショートカットキーを使おう
Blenderで作業するにあたって、ショートカットキーを使うとスムーズにすすみます。積極的に使っていきましょう。
ショートカットキー | Blenderでの操作 |
I | キーフレームを挿入 (タイムライン) |
G | オブジェクトを移動 |
R | オブジェクトを回転 |
S | オブジェクトの拡大・縮小 |
スペース | アニメーション再生・停止 |
今回は、Shift Aから立方体を追加して、その立方体をBlenderでアニメーションさせてみましょう。開始フレーム1、終了フレーム50にしてみます。
Blenderの基本的なモデリング方法については下記記事でまとめています。
Blenderで作ろう【移動アニメーション】
下記の流れでBlenderで移動アニメーションを作ります。
- 立方体を選択、Iでキーフレーム(位置)
- フレームをドラッグで進める
- 立方体をGで移動
- クリックして立方体の位置を決める
- 動かした立方体を選択したまま、Iでキーフレーム(位置)
最初のキーフレームを打つ
Blenderの3Dビューポート上で、立方体を選択します。
最初のフレームにIでキーフレーム(位置)を打ちます。
キーフレームを打つと、タイムライン上に♦(ダイヤマーク)がつきます。
間違えたキーフレームはDeleteキーで削除できます。
移動してキーフレームを打つ
青いバーをドラッグしてフレームを進め、Gで立方体を移動します。
BlenderではG→Zと入力してからマウスを動かすと、Z軸方向に固定して移動できます。
移動したら、左クリックで確定します。再びIでキーフレーム(位置)を打ちます。
このとき、必ずフレームを移動してから新しいキーフレームを打ちましょう。
Blenderではフレームの移動を忘れると、同じキーフレームのまま、上書きされてしまいます。
再生ボタン(スペースキー)を押すと、立方体が移動するアニメーションになっています。
Blenderで作ろう【回転アニメーション】
今度はBlenderで立方体が回転するアニメーションを作ってみます。
基本的な流れは先ほどと同じですが、Rで回転、キーフレーム(回転)を使います。
- 立方体を選択、Iでキーフレーム(回転)
- フレームをドラッグで進める
- 立方体をRで回転
- クリックして立方体の角度を決める
- 回転した立方体を選択したまま、Iでキーフレーム(回転)
最初のキーフレームを打つ
立方体を選択した状態(オレンジ)で、最初のフレームにIでキーフレーム(回転)を打ちます。
回転してキーフレームを打つ
青いバーをドラッグしてフレームを進め、Rで立方体を回転させます。
角度を変えたら、左クリックで確定します。
移動後、再びIでキーフレーム(回転)を打ちます。
再生ボタン(スペースキー)を押すと、立方体が回転するアニメーションになっています。
Blenderで作ろう【拡大・縮小アニメーション】
今度は同じ手順で、ショートカットキーS(拡大・縮小)とキーフレーム(スケール)を使って、Blenderで立方体の大きさを変えるアニメーションを作ります。
- 立方体を選択、Iでキーフレーム(スケール)
- フレームをドラッグで進める
- 立方体をSで拡大(または縮小)
- クリックして立方体の大きさを決める
- サイズを変えた立方体を選択したまま、Iでキーフレーム(スケール)
最初のキーフレームを打つ
立方体を選択した状態(オレンジ)で、最初のフレームにIでキーフレーム(スケール)を打ちます。
大きさを変えてキーフレームを打つ
フレームを進め、立方体の大きさを変えます。
Sキーを押してマウスを動かし、左クリックで確定します。
大きさを変えたら、再び「I」キーを押してキーフレームを打ちます。
再生ボタン(スペースキー)を押すと、立方体が大きくなる(小さくなる)アニメーションになっています。
Blenderで同時にアニメーションさせてみよう【移動・回転・拡大縮小】
Blenderで移動、回転、拡大縮小をすべて同時にアニメーションさせることも可能です。
- 立方体を選択
- 最初の状態でIでキーフレーム(位置・回転・スケール)
- フレームを動かす
- Gで移動、Rで回転、Sで拡大・縮小
- この状態でIでキーフレーム(位置・回転・スケール)
これまでと同様ですが、キーフレームを打つ際に「位置・回転・スケール」を選択するとそれぞれ一気にキーフレームを打つことができます。タイムライン上では1種類のキーフレームしか見えませんが、タイムラインの概要(左端)をクリックすると各情報が見えます。
それぞれのアニメーションはシンプルでも、位置・回転・スケールが混ざることでちょっと複雑なアニメーションができますね。
Blenderを学ぶにはセミナーもおすすめです。Blender基礎セミナーはすぐに実務で使えるスキルを身に着けることが出来ます。
blenderのアニメーションがわかるyoutube動画
文章で分かりにくいところはこちらの動画も参考にしてみてくださいね。
さらに細かいアニメーションを作ろう
Blenderでは「シェイプキー」を使うと台形から立方体へ変化するなど、もっと細かなアニメーションが作れます。シェイプキーとは、オブジェクトの特定の部分を変形できる機能です。
ベースの形を保存しつつ、元の形状に戻しやすいのが特徴です。
頂点を自由に動かして変形できるので、より入り組んだ形のアニメーションが作成できます。
オブジェクトモードでシェイプキー追加
オブジェクトモードの状態で立方体を選択します。
オブジェクトデータプロパティでシェイプキー「+」を2回クリックし、ベース、キー1を作ります。
編集モードで頂点移動
編集モード(Ctrl Tab)に切り替えます。
キー1を選択した状態で1つの頂点をGで移動してみましょう。
オブジェクトモードでキーフレームを打つ
オブジェクトモード(Ctrl Tab)に戻して、タイムライン上でキーフレームを打ちます。
- 1フレーム目でキー1(値0.000)でキーフレーム(I)
- 50フレーム目でキー1(値1.000)でキーフレーム(I)
オブジェクトモードに戻すと、元の立方体の形に戻ってしまいますが、キー1の値を1にすることで先ほどつくった形に変形できます。
キーフレームの打ち方は、シェイプキーの値の箇所でIキーを押すだけでokです。
再生する
再生してみると、1つの頂点が伸びるアニメーションになっています。
このように、Blenderではシェイプキーを値を0→1にすることで、編集モードで作った形に変形できます。シェイプキーは複数つくれるので、値を0~1でそれぞれ調整すると、各シェイプキーを混ぜたような形を作ることも可能です。
元の形に戻したいときはキーの値を0にします。
アニメーションの速度を変えよう
アニメーションを速くしたい場合は、キーフレームの間隔を狭くします。
Blenderのタイムライン上で♦(ダイヤマーク)をクリックして、Gキーで移動できるので調整してみましょう。
アニメーションを遅くしたい場合はキーフレームの間隔を広くすると良いです。
もっと動きにこだわってみる
最初と最後の動き方にこだわりたい場合は、キーフレームを複数選択した状態で、右クリック(補間モード)を触ってみてください。ゴム状を設定してみると、ゴムボールのような動きが出て面白いです。
もっと詳細に調整したい時は、後述するグラフエディターを使ってみましょう。
アニメーションの編集エディター4種類
Blenderには、下記4種類のアニメーションエディターがあります。
- タイムライン
- ドープシート
- ノンリニアアニメーションエディター(NLA)
- グラフエディター
タイムライン
Blenderのタイムラインはアニメーション全体の概要がわかりやすく、キーフレームを見つけて、再生や動きを修正しやすい編集画面です。シンプルな見た目で分かりやすいので、アニメーションに初めて挑戦する方は、まずはタイムラインで作業してみましょう。
これまで作業してきた編集画面もタイムラインになります。
ドープシート
Blenderのドープシートはタイムラインよりも細かい設定ができます。
ドープシート内の「アクション」を使うと、1つのオブジェクトに複数のアニメーションをつくることができます。それぞれのアニメーションに名前をつけられ、各アニメーションを管理できます。
例えば、1つの立方体が小さくなるアニメーションを「scale」と名づけ、回転するアニメーションを「rotate」と名づけて編集できます。
ノンリニアアニメーション
Blenderのノンリニアアニメーションエディターでは、ドープシートのアクションで作った各アニメーションを組み合わせて管理できます。
これにより、異なるアニメーションをまとめて配置したり、次のアクションにつながる滑らかなトランジションを入れたりとアニメーションをもっと詳細に編集できます。
Blenderでの実際の活用例としては、キャラクターを足や手パーツごとにアクションを作り、あとから組み合わせて、歩行、ジャンプ、ダンスなどのアニメーションを作ることができます。
グラフエディター
Blenderのグラフエディターは、アニメーションの細かい動き方を設定できます。
キーフレームを打った後、画像のようなグラフが出てきます。
グラフのカーブを調整することで、キーフレームのイージング(変化の滑らかさや速度)を変えて、アニメーションをより動きのあるものにカスタマイズできます。
アニメーションを動画ファイルに出力
Blenderでアニメーションを作り終わったので、以下を確認して実際に動画ファイルとして出力していきます。
- カメラ設定
- レンダリング設定
カメラ設定
Blenderで出力する際カメラが必須です。
今回はデフォルトで入っているカメラを使ってみます。もし、消してしまった・みつからない場合はShiftAからカメラを追加してください。
Blenderの3Dビューポート内のカメラマーク(またはテンキー0)でカメラビューに切り替えます。この四角の中が実際に出力される範囲になります。
その他、カメラのオブジェクトデータプロパティから、レンズや被写界深度など調整ができますが、今回はデフォルトの状態で出力してみます。
レンダリング設定
次にBlenderのレンダリング設定をします。
Blenderの出力プロパティを選択し、以下の設定を行います。
解像度 | 1920×1080(フルHD) |
フレーム範囲 | 開始1、終了50 |
出力パス | レンダリングしたファイルの保存先をお好みで指定 |
ファイルフォーマット | FFmpeg動画 |
コンテナ | MPEG-4(MP4) |
動画コーデック | H.264 |
レンダーエンジン
Blenderのレンダープロパティからレンダーエンジンを選択します。
今回はデフォルトでBlenderに設定されている「Eevee」を使っていきます。
Blenderには「Eevee」や「Cycles」など複数のエンジンがあります。
それぞれ見映えや動作の重さが変わるなど特徴があるので、選択したエンジンに合わせて設定を調整します。
ちなみに「Eevee」は軽くてアニメーションを出力するのによく使われています。
これでBlender内でのすべての設定が終わりました。
最後にBlender画面上部の「レンダー」からアニメーションレンダリングを選択すると出力が始まります。Blenderですべてのフレームの書き出しが終わるまでしばらく待ちます。
Blenderの出力時間が長い・重くてレンダリングしにくい場合は、サンプリング数を下げてあげると良いです。ただし画質は下がります。
Blenderでレンダリングが完了したら、実際にmp4でアニメーションを出力できたかファイルを確認してみてください。
Blenderのシンプルなアニメーション まとめ
この記事では、移動、回転、拡大・縮小させる基本的なアニメーションの作り方を解説しました。
既にアニメーションの作り方は覚えられているので、シェイプキーや各アニメーションエディターも使ってみたりして、自分の好きなように動かして遊んでみましょう!
どんどんBlenderを触ってアニメーションを作ることでスキルアップにつながります。