Illustratorのドロップシャドウ効果を適用すると、オブジェクトやテキストに立体感のあるリアルな影をつけることが可能です。これによりデザインに奥行きを加え、オブジェクトを視覚的に引き立たせる効果を期待できます。
本記事で、ドロップシャドウの基本的なつけ方から、編集やコピーの方法まで確認していきましょう。
- 1.Illustratorのドロップシャドウとは
- 2.Illustratorでドロップシャドウをつける方法
- 3.Illustratorでドロップシャドウを編集する方法
- 4.Illustratorでドロップシャドウの効果を使い回す方法
- 5.Illustratorでドロップシャドウを反転させる方法
- 6.Illustratorでドロップシャドウがギザギザになる原因
- 7.Illustratorでグラデーションのドロップシャドウをつける
- 8.Illustratorでドロップシャドウを内側につける方法
- 9.Illustratorを効率的に学ぶなら講座の受講がおすすめ!
- 10.Illustratorのドロップシャドウについてのまとめ
Illustratorのドロップシャドウとは
ドロップシャドウとは、その名のとおり対象のオブジェクトに影を落とせる効果です。
シャドウのぼかしや広がり具合を調節することで、同じドロップシャドウでも印象は大きく異なるのが特徴です。
特に、文字につけて視認性を上げたり、オブジェクトにつけて立体感を演出したりする際に使われます。
また、Webサイトにおいてはボタンにドロップシャドウをつけることで、クリックできる領域であることをわかりやすくする効果もあります。
このようにドロップシャドウはさまざまな用途に活用されているため、デザインをするうえでは押さえておきたい効果の一つといえるでしょう。
Illustratorでドロップシャドウをつける方法
実際に、Illustratorで作成したオブジェクトにドロップシャドウをつける手順について確認していきましょう。
1.オブジェクトを作成する
まずは、ドロップシャドウをつけるためのオブジェクトを用意します。画面左側のツールバーから長方形ツールを選択しましょう。
長方形ツールが選択できたら、画面上をドラッグして長方形を描画します。このとき、線はなしで塗りは任意の色を設定しておきましょう。
2.ドロップシャドウを適用する
画面上部のメニューバーから効果を選択し、その中にある「スタイライズ」から「ドロップシャドウ」をクリックしましょう。
すると、ドロップシャドウの設定をするためのダイアログボックスが開くので、以下の表を参考に調節を行ってください。
設定 | 説明 |
描画モード | ドロップシャドウに描画モードを設定できる。影を表現する際は「乗算」が基本。 |
不透明度 | 影の濃さを設定できる。0%に近づくほど薄くなる。 |
X軸オフセット | X軸の影の移動範囲を設定できる。 |
Y軸オフセット | Y軸で影の移動範囲を設定できる。 |
ぼかし | ぼかしの幅を設定できる。 |
カラー | 影の色を設定できる。 |
濃さ | 影の濃さを設定できる。100%に近くなるほど黒色の影になり、0%に近づくほど設定したカラーの影になる。 |
今回は、オプションを以下のとおりに設定しました。
- 描画モード:乗算
- 不透明度:30%
- X軸オフセット:5px
- Y軸オフセット:5px
- ぼかし:2px
- カラー:黒
オフセットの数値を調節することで、どの方向から光が当たっているかの、光源の制御が可能です。
また、不透明度が濃すぎたり、ぼかしが強すぎたりすると違和感の残る仕上がりとなってしまうため、プレビュー画面を確認しながら自然な影になるように調節しましょう。
Illustratorでドロップシャドウを編集する方法
Illustratorで設定したドロップシャドウは、いつでも再編集が可能です。Illustratorでドロップシャドウを編集する手順について見ていきましょう。
1.アピアランスパネルを開く
ドロップシャドウの再編集は、アピアランスパネルから行います。
アピアランスパネルが画面上に表示されていない場合は、ウィンドウメニューから「アピアランス」の項目にチェックを入れて表示させましょう。
アピアランスは、現在選択されているオブジェクトの塗りや線、不透明度などを変えられる機能です。
2.ダイアログボックスを開く
ドロップシャドウがついているレイヤーを選択した状態でアピアランスパネルを開くと「ドロップシャドウ」の項目が表示されるので、文字の上をクリックしましょう。
すると、ドロップシャドウを設定できるダイアログボックスが開くので、ここから項目の数値を変更すれば、ドロップシャドウの再編集ができます。
また、不要になったドロップシャドウは、アピアランスパネルからドロップシャドウの文字をゴミ箱のアイコンまでドラッグすることで削除可能です。
Illustratorでドロップシャドウの効果を使い回す方法
Illustratorでつけたドロップシャドウは、ほかのシェイプや文字にも使い回しで効果を付与できます。Illustratorでドロップシャドウの効果を使い回す手順は以下のとおりです。
- アピアランスパネルを開いた状態でドロップシャドウをつけたオブジェクトを選択する
- パネル上部のパスの左にあるアイコンを、効果をつけたいオブジェクトの上にドラッグ&ドロップする
この手順を行うことで、ドロップシャドウに加えて塗りや線などの情報も反映されます。
一つずつオブジェクトに効果を付与していくのは手間がかかるので、効果を複製したい場合は活用してみてください。
また、ドロップシャドウのような特殊効果を扱えるようになれば、Illustratorを使ってロゴ作成もできるようになるでしょう。
以下の記事では、Illustratorでロゴを作る基本の方法や、魅力的なロゴを作るためのコツなどを紹介しています。
Illustratorを使った作品作りに取り組んでみたい方は、ぜひこちらもあわせてご覧ください。
Illustratorでドロップシャドウを反転させる方法
Illustratorでドロップシャドウをつけたオブジェクトを反転すると、ドロップシャドウには反転がかかりません。
しかし、ドロップシャドウもオブジェクトと同じ方向に反転をかけたいケースもあるでしょう。
そのような場合は、オブジェクトメニューの「アピアランスを分割」を行ってから反転処理をかけます。
アピアランスを分割は、アピアランスの項目をパスオブジェクトにして、アピアランス属性を消去する機能です。
アピアランスを分割することによって、ドロップシャドウも反転がかかるようになります。
Illustratorでドロップシャドウがギザギザになる原因
Illustratorでつけたドロップシャドウがギザギザになってしまう場合があります。
そのようなケースでは、ドロップシャドウの解像度が低いことが原因として考えられます。
ドロップシャドウがギザギザになる場合は、以下の手順からIllustratorの設定を見直してみましょう。
- 効果メニューから「ドキュメントのラスタライズ効果設定」を開く
- 解像度の項目を印刷媒体なら「350ppi」に変更する
新規ドキュメントを立ち上げる際に、Web用の解像度である72ppiが設定されると、ドロップシャドウがギザギザになってしまいます。
印刷用とWeb用ではカラーモードだけでなく、解像度にも違いがあることを押さえておきましょう。
Illustratorでグラデーションのドロップシャドウをつける
アピアランスを使えば、文字にグラデーションのドロップシャドウをつけることも可能です。Illustratorでグラデーションのドロップシャドウをつける手順について見ていきましょう。
1.テキストを入力する
まずは、画面左側にあるツールバーから文字ツールを持ち、任意のテキストを入力しましょう。
テキストが入力できたら、塗りと線はなしにしておきます。
2.アピアランスで塗りを追加する
続いて、アピアランスパネルを開き、パネル下部にあるアイコンの中から「新規塗りを追加」をクリックして、塗りを新しく追加します。
追加した塗りはカラーのアイコンをクリックして、白色に設定しておきましょう。
3.線にグラデーションをかける
アピアランスパネルにある線をクリックして、グラデーションをかけます。
ウィドウメニューから「グラデーション」にチェックを入れて、グラデーションパネルを表示させましょう。
パネルからグラデーションの色や角度、種類をお好みで設定してください。グラデーションをかけられたら、線の項目をドラッグして、塗りの下に配置します。
このとき、あわせて線のサイズを3pt程度に変更して見やすくしておきましょう。
また、Illustratorでグラデーションを使う詳しい方法については以下の記事で解説しています。綺麗にグラデーションをかけるコツについても紹介しているので、ぜひこちらもあわせてご覧ください。
4.線にぼかしをつける
グラデーションをかけた線にドロップシャドウの感じを出すために、ぼかしをつけていきます。
線の項目を選択した状態で、アピアランスパネル下部のアイコンから「新規効果を追加」を選択しましょう。
メニューが開くので、「ぼかし」の中の「ぼかし(ガウス)」を選択します。
ぼかし(ガウス)のダイアログボックスが開いたら、半径を3px程度に設定してOKボタンで編集を確定しましょう。
すると、線にぼかしがかかり、文字にグラデーションのドロップシャドウがかかっているような表現ができました。
Illustratorでドロップシャドウを内側につける方法
Illustratorでは、ドロップシャドウを内側にもつけられます。効果メニューにある「スタイライズ」から「光彩(内側)」を選択しましょう。
すると、光彩(内側)のダイアログボックスが開くので、ドロップシャドウと同じ要領で設定を行います。
また、ドロップシャドウと違い、中心と境界線のラジオボタンが用意されていますが、中心はオブジェクトの中心から、境界線はオブジェクトの境界線から効果を付与できる設定です。
光彩(内側)をつけることで、オブジェクトの内側にぼやっとしたぼかしを反映させられます。
Illustratorを効率的に学ぶなら講座の受講がおすすめ!
ドロップシャドウを使えるようになれば、Illustratorで文字デザインができるようになります。
Illustrator基礎セミナー講習では、Illustratorのドロップシャドウや、文字タッチツールを使って文字を美しくデザインするタイポグラフィックの技術を学べます。
ほかにも、ライブペイントツールを使ったイラスト作成や、文字のアピアランスを活用したバナー作成など、Illustratorで欠かせないスキルについても学習可能です。
豊富な機能が揃っているIllustratorはプロに教わることで効率的に学べるので、これからIllustratorの学習を始めようと考えている方は、ぜひIllustrator基礎セミナー講習をチェックしてみてください。
Illustratorのドロップシャドウについてのまとめ
今回は、Illustratorでドロップシャドウをつける方法について紹介しました。ドロップシャドウは、オブジェクトの奥行きを演出できる効果です。
シンプルなデザインにドロップシャドウをつけることで、より魅力的な仕上がりとなるでしょう。本記事の手順を参考にして、日々の作品作りにドロップシャドウを取り入れてみてください。